2014年IMO第4問の解説
2014年の数学オリンピックの問題です:
鋭角三角形 の辺 上に
となるように取る。また, の中点が , の中点が となるように を取る。
このとき と の交点 が の外接円上にあることを証明せよ。
問題の観察
問題の観察
- 図形的な考察により証明するのか,計算によって証明するのか方針に迷うところです。
- 「角が等しい」という条件は図形的な考察と相性がよく,「中点」という条件は計算と相性がよいです。そこで,「角が等しい」という条件を図形的な考察によって計算しやすい条件に変換してから計算でゴリ押します。
- 4点が同一円周上にあることの証明には様々な方法が考えられます: 円周角の定理の逆を使う,向かい合う角の和が であることを示す,トレミーの定理の逆を使う,中心からの距離が全て等しいことを示す,etc.
- 計算していくと分かるのですが の長さは複雑で求めたくありません。そこで を登場させないで証明するために「向かい合う角の和が であることを示す」方針で行きます。
計算による方法
計算による方法
少し長くて一見複雑ですが,方針がしっかり見えていれば機械的な計算で解けます。計算の詳細よりも方針,解答の流れを理解してください!
を示します。三角形 の三辺の長さが分かれば が計算できます。目標は の長さを で表すことになります。
を目指していろいろな長さを次々と求めていく。
三角形 と は相似なので,
同様に
よって
中点連結定理より
三角形 と は相似なので,
あとは を求めればよい。
三角形 と は相似なので,
よって,三角形 に余弦定理を用いて
これを整理すると,
よって,
対称性より
最後に三角形 に余弦定理を用いて,
頑張って計算すると,これが
となるので となることが証明された。
重心座標を用いる方法
重心座標を用いる方法
三角形の重心座標とその応用で紹介した外接円の方程式を用いれば,より楽に証明できます。
さきほどの解答より なので
より
の重心座標は
よって の重心座標は
同様に の重心座標は
と の交点 の重心座標はベクトル方程式を連立させることで
となることが分かる。(この部分だけ少し計算する必要がある)
これは,外接円の方程式:
を満たすのでOK!
※重心座標による外接円の方程式を解答中で使うときは証明すべきです。
ちなみに初等幾何のみでの解法もあります(読者の方に教えていただきました)。
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