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ロピタルの定理の条件と例題

更新日時 2021/03/07
ロピタルの定理の概要

limxaf(x)g(x)\displaystyle\lim_{x\to a}\dfrac{f(x)}{g(x)}00\dfrac{0}{0} または \dfrac{\infty}{\infty} の不定形で「ある条件」を満たせば,

limxaf(x)g(x)=limxaf(x)g(x)\displaystyle\lim_{x\to a}\dfrac{f(x)}{g(x)}=\lim_{x\to a}\dfrac{f'(x)}{g'(x)}

「ある条件」は後述します。ロピタルの定理は,大雑把に言うと「不定形の極限は,分母と分子をそれぞれ微分しても極限の値が変わらない」です。

多くの問題で威力を発揮する検算テクニックです。

目次
  • ロピタルの定理が使える例題

  • ロピタルの定理の条件

  • ロピタルの定理が使えない例題

  • ロピタルの定理と循環論法

ロピタルの定理が使える例題

ロピタルの定理は,入試問題で出現する多くの極限の問題に対して使えます。

例1

limx0sinxx=limx0cosx1=1\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{\sin x}{x}=\lim_{x\to 0}\dfrac{\cos x}{1}=1

00\dfrac{0}{0} の不定形なので,分母分子を微分して極限を計算できます。

例2

limx0xsinxx3=limx01cosx3x2=limx0sinx6x=16\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{x-\sin x}{x^3}=\lim_{x\to 0}\dfrac{1-\cos x}{3x^2}=\lim_{x\to 0}\dfrac{\sin x}{6x}=\dfrac{1}{6}

同じく 00\dfrac{0}{0} の不定形です。このようにロピタルの定理を複数回使う場合もあります。

例3

limx1logxx1=limx11x=1\displaystyle\lim_{x\to 1}\dfrac{\log x}{x-1}=\lim_{x\to 1}\dfrac{1}{x}=1

同じく 00\dfrac{0}{0} の不定形です。 x0x→0 以外の場合でも使えます。

例4

limxx2ex=limx2xex=limx2ex=0\displaystyle\lim_{x\to \infty}\dfrac{x^2}{e^x}=\lim_{x\to \infty}\dfrac{2x}{e^x}=\lim_{x\to\infty}\dfrac{2}{e^x}=0

ロピタルの定理は \dfrac{\infty}{\infty} の不定形にも使えます。 xx\to\infty の場合でも使えます。

ロピタルの定理の条件

冒頭で述べた「ある条件」についての詳細です。

ロピタルの定理は,以下の2つの条件が前提となっています。

  • limxaf(x)g(x)\displaystyle\lim_{x\to a}\dfrac{f'(x)}{g'(x)} が存在すること

  • 極限の行き先の十分近くで g(x)0g'(x)\neq 0

つまり,ロピタルの定理(いくつかあるパターンのうちの1つ)をきちんと述べると,以下のようになります。

ロピタルの定理(厳密バージョン)

a,γ>0,la,\gamma>0,l は実数とする。

aγ<x<a,a<x<a+γa-\gamma<x<a,a<x<a+\gamma(つまり,aa の周辺)において,f(x)f(x)g(x)g(x) は微分可能とする。

また,limxaf(x)=limxag(x)=0\displaystyle\lim_{x\to a}f(x)=\lim_{x\to a}g(x)=0 とする。

このとき,limxaf(x)g(x)=l\displaystyle\lim_{x\to a}\dfrac{f'(x)}{g'(x)}=l かつ g(x)0(aγ<x<a,a<x<a+γ)g'(x)\neq 0\:(a-\gamma<x<a,a<x<a+\gamma)

ならば,limxaf(x)g(x)=l\displaystyle\lim_{x\to a}\dfrac{f(x)}{g(x)}=l

参考:ロピタルの定理の証明の定理5.4

ロピタルの定理が使えない例題

さきほど述べた2つの条件が成立していないときは,ロピタルの定理は使えません。

以下の例5は,「limxaf(x)g(x)\displaystyle\lim_{x\to a}\dfrac{f'(x)}{g'(x)} が存在する」という条件が満たされない例です。

例5

M=limxxcosxxM=\displaystyle\lim_{x\to \infty}\dfrac{x-\cos x}{x}\dfrac{\infty}{\infty} の不定形なので,ロピタルの定理を使おうとすると,limx1+sinx1\displaystyle\lim_{x\to\infty}\dfrac{1+\sin x}{1} となり振動してしまう。一方,はさみうちの原理を使うと M=1M=1 であることがわかる。

また,「極限の行き先の十分近くで g(x)0g'(x)\neq 0」という条件が満たされない例としては,

limxx+sinxcosxesinx(x+sinxcosx)\displaystyle\lim_{x\to\infty}\dfrac{x+\sin x\cos x}{e^{\sin x}(x+\sin x\cos x)}

が挙げられます(参考:Wikipedia:ロピタルの定理)。

ロピタルの定理と循環論法

ロピタルの定理は,極限の計算のために微分を使います。一方,微分の計算には極限の計算が必要です。そのため,循環論法に陥りがちです。

例えば上記の例1で「sinx\sin x の微分」を使って「 limx0sinxx\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{\sin x}{x} の値」を計算していますが,そもそも「sinx\sin x の微分」の計算には「limx0sinxx\displaystyle\lim_{x\to 0}\dfrac{\sin x}{x} の値」が必要です。

このような問題点もあるので,ロピタルの定理は あくまで値の確認用として使うのがおすすめです。

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