シュタイナーレームスの定理
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三角形 において の二等分線と の交点を , の二等分線と の交点を とおく。
ならば
あまり役に立つ定理ではありませんが,この定理の証明は頻出のテクニックをいくつか使うことでほぼ機械的にできるのでよい練習になります。
証明の方針
証明の方針
「 なら 」を示す方法です。これを示せば同様に「 ならば 」も証明できます。以上から転換法によりシュタイナーレームスの定理が証明されます。
(上記の転換法の議論がしっくりこない人はより厳密に……
以上の2つの命題の対偶を取ると, ならば , ならば となる。よって ならば )
方針1による証明は有名ですが,発想力が少し必要です。詳細は他の多くのサイトに載っているので省略します。私は以下の方針2の方が好きです!
三角形の3辺の長さ を用いて と をそれぞれ表すことで の関係式が得られます。その式を変形して を示せばよいです。
いくつかの有名テクニックを知っていれば,ほぼ機械的に証明できます。方針2の方が計算は大変ですが,発想力は必要なく,実戦向きです。以下で詳しく解説します。
使うテクニックは3つです,いずれも重要!
テク1:とにかく全ての情報を三角形の3辺の長さで表してみる
テク2:角の二等分線を含む三角形について情報が3つ与えられたら全て求まる →角の二等分線に関する重要な3つの公式
テク3:斉次式なら規格化できる →不等式証明のコツ2:斉次式化
テク3の補足:図形を拡大・縮小しても角度,線分比は変わらないので都合のよい関係式を満たすように拡大,縮小したもので証明すればよいわけです。例えば, となる三角形のみを考えれば良いということです。
シュタイナーレームスの定理の証明
シュタイナーレームスの定理の証明
前半:図形部分
角の二等分線の公式3より,
また,角の二等分線の公式1より,
以上から, のとき
ここまでは完全に機械的にできないといけません。
後半:代数計算部分,目標は を示すこと。
両辺を で割って通分する:
両辺の分子を因数分解して で割る:
このまま展開して気合いで因数分解してもよいが,ここでは と規格化して式を簡単にする:
を因数にもつことに注意して上式を展開,因数分解する:
よって,この左辺の二つ目のカッコの中身が正であることを示せば が分かる:
(左辺の二つ目のカッコの中身)
最後の部分はやや技巧的です。マイナスの寄与をするのが のみであるので「平方完成のようなことをして をなんとかしたい」と考えれば思いつきやすいでしょう。
しばしば,難しい発想と複雑な計算はトレードオフの関係にあります。確実に得点を稼ぐなら複雑な計算を選んだ方がよいです。