切片方程式とその証明に関すること

2点 (a,0),(0,b)(a,0),(0,b) を通る直線の方程式は,

xa+yb=1\dfrac{x}{a}+\dfrac{y}{b}=1

3点 (a,0,0),(0,b,0),(0,0,c)(a,0,0),(0,b,0),(0,0,c) を通る平面の方程式は,

xa+yb+zc=1\dfrac{x}{a}+\dfrac{y}{b}+\dfrac{z}{c}=1

ただし,a,b,ca,b,c00 でない任意の実数です。

切片方程式は時間短縮のために有効な公式です。また,切片方程式の証明のロジックは特殊なので理解しておきましょう。

切片が分かれば方程式を高速で求められる

2点 (x1,y1),(x2,y2)(x_1,y_1),(x_2,y_2) を通る直線の方程式は一般的な公式,

yy1=y2y1x2x1(xx1)y-y_1=\dfrac{y_2-y_1}{x_2-x_1}(x-x_1)

を用いて求められますが,その2点が切片のときは方程式を一瞬で求めることができます。

(3,0),(0,4)(3,0),(0,4) を通る直線の方程式は,

x3+y4=1\dfrac{x}{3}+\dfrac{y}{4}=1

空間座標でも同様です:

(3,0,0),(0,4,0),(0,0,5)(3,0,0),(0,4,0),(0,0,5) を通る平面の方程式は,

x3+y4+z5=1\dfrac{x}{3}+\dfrac{y}{4}+\dfrac{z}{5}=1

切片方程式の証明

切片方程式の正しさのロジックは,厳密には以下の3段階で成り立っています:

  1. 直線 l:xa+yb=1l:\dfrac{x}{a}+\dfrac{y}{b}=1(a,0),(0,b)(a,0),(0,b) を通る。

  2. (a,0),(0,b)(a,0),(0,b) を通る直線は 11 つしかない。

  3. よって直線 ll こそが求める直線である。

1だけでよいじゃないか,当然じゃないかと思う人はそれでも構いません。記述式の問題で切片方程式を使う場合には説明の1だけを書いておけば十分です。実際,多くの参考書では切片方程式の説明を1だけで終わらしています。説明2を暗黙の了解としているのです。

しかし,切片方程式の公式を聞いた時になんとなく狐につままれたような感じがする人は,説明2,3を加えれば納得できると思います。

証明のロジックの一般化

  1. 条件を満たすものを気合で nn 個求める

  2. 条件を満たすものが nn 個以下であることを別の方法で示す。

  3. よって1で求めたのが答え

n=1n=1 の場合が切片方程式のロジックになります。一見大したことのない当たり前なことですが,難しい離散数学(整数,組み合わせなど)の問題ではこういう小さなロジックをたくさん組み合わせて証明していくことがあります。このロジックには慣れておきましょう。

おおらかでよいときと厳密になるべきとき,使い分けましょう。

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