二次関数の決定とその背景
二次関数の決定とは,与えられた条件を満たす二次関数を求める問題です。
この記事では, 二次関数の決定問題の解き方 と 二次関数の決定の背景 について解説します。
二次関数の決定(パターン1)
二次関数の決定(パターン1)
二次関数の決定には大きく3つのパターンがあります。1つずつ解説します。
を通る二次関数を求めよ。
求める二次関数を とおく。
を通るので, を代入すると
同様に, を通るので
この連立方程式を解くと, となる。
よって,求める二次関数は である。
このように,通る3点が与えられる二次関数の決定問題は,
二次関数を とおいて, を計算する
という方法で解けます。
→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT26では,本問の別解と,このような「二次関数の決定」で計算ミスをしないためのコツも紹介しています。
二次関数の決定(パターン2)
二次関数の決定(パターン2)
頂点の座標が で, を通る二次関数を求めよ。
求める二次関数を とおく。
頂点の座標が なので, である。
よって,二次関数の式は
となる。この式に を代入すると
となる。これを解くと
となる。よって,求める二次関数は, である。
このように,頂点や軸に関する条件が与えられる二次関数の決定問題は,
二次関数を とおいて, を計算する
という方法で解けます。
二次関数の決定(パターン3)
二次関数の決定(パターン3)
軸との交点が と で を通る二次関数を求めよ。
求める二次関数を とおく。
軸との交点が と なので, が分かる:
この式に を代入すると,
よって, である。
つまり,求める二次関数は である。
このように, 軸との交点(共有点)の条件が与えられる二次関数の決定問題は,
二次関数を とおいて, を計算する
という方法で解けます。
3つのパターンまとめ
3つのパターンまとめ
-
パターン1:通る3点が与えられたら
とおいて, を計算する -
パターン2:頂点や軸の情報が与えられたら
とおいて, を計算する -
パターン3: 軸との共有点が与えられたら
とおいて, を計算する
以下では,二次関数の決定問題の「パターン1」の背景を説明します。
次関数の決定には条件が 個いる
次関数の決定には条件が 個いる
これまでの計算を振り返りましょう。
二次関数を決定するためには,3つの条件が必要です。特に,パターン1で見たように,通る3点が与えられたら,二次関数は1つに決まります。
より一般に,以下の定理が成立します。
点 ,ただし は互いに異なる)を通る 次以下の関数がただ1つ存在する。
「 次以下」と書いたのは「通る3点が直線上にある場合は,二次関数は存在せず一次関数が1つ定まる」というような例外があるからです。
ほとんどの場合はちょうど 次の関数が1つ定まります。
証明
この定理の証明は2通りあります。
- 高校数学の範囲で理解できる方法
- ヴァンデルモンド行列の行列式(大学で学ぶ線形代数の知識)を用いる方法。→ヴァンデルモンド行列式の証明と応用例
以下では,上記の証明1を紹介します。以下の2つにわけて証明します。
- 前半:与えられた 点を通る 次以下の関数は多くても1つ
- 後半:実際にその1つを構成できる
が与えられた点をすべて通る 次以下の関数とすると,
である。
とおくと,各 について である。
よって,因数定理より,
となる。
でないと右辺が 次になってしまうので である。
すなわち である。
ラグランジュの補間公式
証明の後半です。「通る 点を通る 次以下の関数を構成できる」方法を述べます。
一般的に書くと大変なので, の場合で説明します。
を通る二次関数の方程式は,
実際に代入すれば,与えられた3点を通ることが確認できます。美しいです。
しかし,この公式は分数がたくさん出てきて思いのほか計算が大変なので,二次関数の決定問題で使うのはオススメしません。
一般的な 次関数の場合や,難問への応用は ラグランジュの補間公式とその応用例 で解説しています。
私は「理論的に美しい定理」も「実戦で威力を発揮するテクニック」のどちらも好きです。