問1
いつものたすき掛け公式を使ってもいいですが,それでは計算ミスしそうで怖いですね。
証明
A=⎝⎛−a−a−a−b−b−b−c−c−c⎠⎞
とおく。
∣xI−A∣=∣∣x+aaabx+bbccx+c∣∣
であるため,求める行列式は A の固有方程式になる。
つまり A の固有値を α,β,γ(重複込み)とすると,求める行列式は (x−α)(x−β)(x−γ) となる。(x3 の符号が正であることに注意)
固有値の計算
A の行基本変形をすると
⎝⎛−a00−b00−c00⎠⎞
であることから,rank A=1 と分かる。ランクの性質から,固有値は 0,0,x (x=0) であることを得る。
計算すると ⎝⎛111⎠⎞ は固有値 −a−b−c の固有ベクトルと分かる。
こうして固有値は 0,0,a+b+c であり,求める行列式は x2(x+a+b+c) であることが分かった。
一般に
=xn−1(x+a1+⋯+an)∣∣x+a1a1⋮a1a1a2x+a2a2a2⋯⋯⋱⋯⋯an−1an−1x+an+1an−1anan⋮anx+an∣∣
となります。
問2
解答
(2)=∣∣x00a4−1x0a30−1xa200−1a1∣∣x4+a1x3+a2x2+a3x+a4
A=⎝⎛000−a4100−a3010−a2001−a1⎠⎞
とおく。
∣xI−A∣=∣∣x00a4−1x0a30−1xa200−1a1∣∣
であるため,求める行列式は A の固有多項式になる。
x4+a1x3+a2x2+a3x+a4=0
の解を λ1,λ2,λ3,λ4 とおく。
方程式に
λi
を代入することで
λi4=−a1λi3−a2λi2−a3λi−a4
に注意すると,
A⎝⎛1λiλi2λi3⎠⎞=⎝⎛λiλi2λi3λi4⎠⎞=λi⎝⎛1λiλi2λi3⎠⎞
であることが分かる。
よって A の固有値は λi であるため,固有多項式は
(x−λ1)(x−λ2)(x−λ3)(x−λ4)=x4+a1x3+a2x2+a3x+a4
となる。
こちらも一般に
=∣∣x0⋮00an−1x⋯⋯an−10−1⋱0⋯⋯⋯0⋱x0⋯⋯⋯−1xa200⋮0−1a1∣∣xn+a1xn−1+⋯+an−1x+an
が成立します。