陰関数定理
O を Rn+m 上の開集合とする。
Cr 級関数 f:O→Rm を取る。
p=(p1,⋯,pn)∈Rn,q=(q1,⋯qm)∈Rm は次を満たす。
- f(p,q)=0
- rank (Jf)(p,q)=m
このとき p の開近傍 U,q の開近傍 V と Cr 級微分同相写像 g:U→V であって
f(x,g(x))=(0,⋯,0)
を満たすものが存在する。
※
座標を x=(x1,⋯,xn),y=(y1,⋯,ym) によって (x,y) と書いた。
証明
f の成分表示を (f1,⋯,fm) と書く。
f~:O→Rn+m を
f~(x,y)=(x,(f1(x,y),⋯,fm(x,y)))
と定義する。これは Cr 級で f~(p,q)=(0,q) となる。
(Jf~)(p,q)=(OIn(Jf)(p,q))
とできる。これのランクは n+m であるため (Jf~)(p,q) は可逆である。
逆写像定理を用いる。
(p,q) の開近傍 U と (0,q) の開近傍 V があって,f~∣U:U→V は Cr 級微分同相写像になる。
f~∣U の Cr 級逆写像を ϕ とする。
ϕ(x,y)=(ϕ1(x,y),⋯,ϕn+m(x,y))
と書くと
f~∘ϕ(x,y)=(ϕ1(x,y),⋯,ϕn(x,y),f1(ϕ(x,y)),⋯,fm(ϕ(x,y)))=(x,y)
となるため,
ϕ(x,y)=(x,ϕ1(x,y),⋯,ϕm(x,y))
となる。
この ϕ の下 m 成分を g~ とおく。つまり,
g~(x,y)=(ϕ1(x,y),⋯,ϕm(x,y))
とおく。
定義より f~(x,g~(x,y))=(x,y) となる。
y=0=(0,⋯,0) を代入することで
f~(x,g~(x,0))=(x,0)
を得る。
f~(x,g~(x,0))=(x,f1(x,g~(x,0)),⋯,fm(x,g~(x,0)))
であったため,g(x)=g~(x,0) とおけば
f(x,g(x))=0
となる。
なお,ϕ が Cr 級であることから g も Cr 級である。