有名不等式 e^π > π^e の証明
を証明せよ。
この記事では有名な不等式 の証明を紹介します。
証明1:微分による証明
証明2:マクローリン型不等式を応用する証明
ゲルフォントの定数
証明1:微分による証明
もし,左辺を だけ,右辺を だけの式に変形できたら簡単に議論ができそうですね。
ここで各辺を 乗すると,証明すべき式は であることがわかりますね。
さらに対数を取ることで を示せばよいことがわかります。
この不等式を示すには,関数 の増減を調べればよさそうです。
示すべき不等式の両辺の対数を取って変形することで を示せばよいことがわかる。
とおく。
よって増減表は
となる。
ゆえに となる。
こうして が示され, が従う。
対数を取らずに議論をしたら……?
対数を取らずに で議論をすることもできます。
しかし,こうした関数を微分をする場合,対数微分法 を用いることになります。
この場合, の考察と等価であることがわかります。
証明2:マクローリン型不等式を応用する証明
マクローリン展開にまつわる指数関数の不等式 に というものがありました。
を代入すると が左辺に登場しますが, を にするのは少々難しそうです。そこで代入する数を工夫してみます。
正の実数 に対して が成立する。
(証明)
に対して とすると であるため, は単調に増加する。
ゆえに となる。
こうして である。(終)
この不等式に を代入すると を得る。これを変形して を得る。
ゲルフォントの定数
左辺 は ゲルフォントの定数 といわれます。
実際に値を求めると となります。
と計算されます。これは無理数で表されるほとんど整数の例の1つです。
超越数であること
ゲルフォントの定数は 超越数 です。これは ゲルフォント=シュナイダーの定理 で証明されます。
を とは異なる代数的数, を有理数ではない代数的数とする。このとき は超越数である。
ゲルフォントの定数は, となります。定理において とおくことで, が超越数であることが示されます。
東大入試との関連
1999年東大理系第6問にこのような問題があります。
を示せ。ただし,, である。
この積分を計算すると になります。よってこの問いは「 を示せ」と読みかえられます。
詳しい証明は 一次近似の意味とよく使う近似公式一覧 に書いています。
他にもスマートな証明があったら教えてください。