重積分 I を
I=∫01∫011−x2y21dxdy
とおく。
積分を変形して,積分値が求める値になることを確認する。
0<x,y<1 より
1−x2y21=n=0∑∞(xy)2n
とでき,この極限と積分の順序は入れ替えることができる。→ 積分と極限(無限和)の交換
よって
I=∫01∫01n=0∑∞(xy)2ndxdy=n=0∑∞∫01∫01x2ny2ndxdy=n=0∑∞∫01x2ndx∫01y2ndy=n=0∑∞(2n+1)21
と変形される。
I の計算のために変数変換を導入する。
cosu=1−x2y21−x2,cosv=1−x2y21−y2 とおく。定義から 0<u,v<2π である。
このとき sinu=x1−x2y21−y2,sinv=y1−x2y21−x2 であるため,
x=cosvsinu,y=cosusinv
である。
この変数変換によって積分範囲がどのように変化するか調べる。
0<x<1,0<y<1 に上の式を代入すると
0<cosvsinu<1⟺sinu>0,cosv>sinu0<cosusinv<1⟺sinv>0,cosu>sinv
となる。
{cosv>sinucosu>sinv
を解けば良い。対称性より1つめの式のみの考察でよい。
cosv=sin(2π−v) と 0<u,v<2π に注意すると
2π−v>u
すなわち
u+v<2π
を得る。
以上をまとめると,u>0,v>0,u+v<2π を得る。
ヤコビアンを計算する。
J=det⎝⎛dudxdudydvdxdvdy⎠⎞=det⎝⎛cosvcosucos2usinvsinucos2vsinusinvcosvcosu⎠⎞=cosvcosucosvcosu−cos2usinvsinucos2vsinusinv=1−x2y2
と計算される。
I を計算する。
S={(u,v)∣u>0,v>0,u+v<2π} とおく。
I=∬S1−x2y21(1−x2y2)dudv=∬Sdudv=21⋅2π⋅2π=8π2
を得る。