ドーナツ(トーラス体・円環体)の体積・表面積を2通りの方法で計算
ドーナツの体積と表面積を計算してみましょう。
半径 の円を軸のまわりに回転させてできる図形を考える。軸から円の中心までの距離を とする。
このような,円を回転させてできるドーナツのような立体をトーラス体(円環体)と言います。トーラス体の表面をトーラスと言います。
体積
体積
ドーナツの体積は,
2通りの計算方法を紹介します。
まずは1つめの方法です。パップスギュルダンの定理を知っていれば,非常に簡単に計算できます。
- 回転させる前の円の面積は
- 回転させるときに円の重心(中心)が動く距離は
よって,体積は,パップスギュルダンの定理より
次は,パップスギュルダンの定理を使わずにきちんと計算してみます。
表面積
表面積
ドーナツの表面積は,
表面積も2通りの計算方法を紹介します。まずは,体積の結果(定理1)を使った方法です。
を固定して,体積と表面積を の関数とみなす。それぞれ とおく。
すると, が十分小さいとき,
となる(→補足)。変形すると,
の極限を考えると,
よって,定理1の結果 を で微分すると
補足:「小さいドーナツ」に「ドーナツの表面積×追加した厚み」を加えると「大きいドーナツ」になります。
なお,「体積の微分が表面積」という関係は,球についても成立します。→球の体積と表面積の公式の覚え方・積分での求め方内の「球の表面積の求め方2」参照。
次は,表面積を計算する公式 を使った計算方法です。この公式を知らない方は楕円体・回転楕円体の意味と体積・表面積の定理3の証明を読んでみてください。
体積の場合と同じく,円の式を
, とおく。
表面積は,
となる。ここで,
となり, も同じ式になる。よって,表面積は
ここで, と置換すると,上式は
パップスギュルダンの定理が活躍する代表的な例です!