球の体積と表面積の公式の覚え方・積分での求め方

球の体積と表面積の公式

半径 rr の球の表面積は S=4πr2,S=4\pi r^2,\: 球の体積は V=43πr3V=\dfrac{4}{3}\pi r^3 である。

球の体積と表面積の公式

球の体積と表面積の公式の覚え方を紹介します。そのあと,中学生の方向けに公式を利用して例題を解いてみます。後半では積分を使って公式を証明します。表面積は3通りの方法を解説します。 高校生の方にとっては,積分の感覚をつかむよい練習になります。

球の体積と表面積の公式の覚え方

以下の語呂合わせで覚える方法が有名です:

  • 球の表面積:4πr24\pi r^2 →「心配アール二乗」
  • 球の体積:43πr3\dfrac{4}{3}\pi r^3 →「身の上に心配アール三乗」

意味はわからないかもしれませんが,何度も口に出していると自然と覚えます。私も,球体の表面積や体積を求めるときは,今でも語呂で公式を思い出しています。

球の体積と表面積の公式を用いた例題

体積の公式を使う問題

半径 3 cm3 \text{ cm} の半球の体積を求めよ。

半径3cmの半球

解答

半径 3 cm3 \text{ cm} の球の体積 VV

V=43π×33=36π V = \dfrac{4}{3} \pi \times 3^3 = 36\pi

半球の体積は,この半分なので,

36π×12=18π 36\pi \times \dfrac{1}{2} = 18\pi

よって答えは 18π cm318\pi \text{ cm}^3 である。

表面積の公式を使う問題

半径 3 cm3 \text{ cm} の半球の表面積を求めよ。

半径3cmの半球

解答

半径 3 cm3 \text{ cm} の球の表面積 SS

S=4π×32=36π S = 4 \pi \times 3^2 = 36\pi

半球の表面積は,「この半分」と「半径 3 cm3 \text{ cm} の円の面積」を足したものなので,

36π×12+π×32=27π 36\pi\times\dfrac{1}{2} + \pi \times 3^2 = 27\pi

よって答えは 27π cm227\pi \text{ cm}^2 である。

公式の証明の前に

証明の前に,球の表面積と体積に関して意識しておくべきことを整理しました。

  • 表面積は半径の二乗に比例し,体積は半径の三乗に比例することは感覚的に明らかです。よって,公式を覚えていなくても S=Ar2,V=Br3S=Ar^2,\:V=Br^3 ということが分かります。 AA がだいたい 12.512.5BB44 より少し大きいというわけです。特に,体積が一辺 rr の立方体 44 個ぶんちょっとということは感覚的に納得できます。
  • 高校数学では,そもそも曲面の面積ってなんだ?って感じなので,表面積の導出に関しては一部厳密でない表現も含まれています,ご了承ください。

球の体積の求め方

球の体積公式を証明します。数学Ⅲで習う「回転体の体積を求める公式」を使います。球を輪切りにして体積を足しあわせます。

証明

球の体積の証明

xyxy 平面上で原点を中心とした半径 rr の円板 CCxx 軸の回りに回転させた立体は半径 rr の球である。

CC の境界の上半分は y=r2x2y=\sqrt{r^2-x^2} である。

よって,

V=rrπ(r2x2)2dx=2π0r(r2x2)dx=2π[r2xx33]0r=43πr3\begin{aligned} V&= \int_{-r}^r\pi (\sqrt{r^2-x^2})^2dx\\ &=2\pi \int_{0}^r(r^2-x^2)dx\\ &=2\pi\left[r^2x-\dfrac{x^3}{3}\right]_{0}^r\\ &=\dfrac{4}{3}\pi r^3 \end{aligned}

球の表面積の求め方1

球の表面積を積分で直接求めに行きます。

証明

球の表面積の導出

緯度が θ\theta から θ+Δθ\theta+\Delta \theta の部分(帯のような図形※)の表面積を考える。

周の長さは 2πrcosθ2\pi r\cos\theta ,帯の幅は rΔθr\Delta\theta なので帯の表面積は,

2πr2cosθΔθ2\pi r^2\cos\theta\Delta\theta

よって,Δθ0\Delta\theta\to 0 の極限を考えることで

S=π2π22πr2cosθdθ=4πr2\begin{aligned} S &= \int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}}2\pi r^2\cos\theta d\theta\\ &= 4\pi r^2 \end{aligned}

※イメージするのが難しい方は,地球儀を持ってきて「緯度が30度から31度の間の部分(帯)」を考えてみてください。帯は十分細いので長方形とみなすと,面積は「帯の長さ」×「帯の幅」で計算できます。帯の長さが 2πrcosθ2\pi r\cos\theta になり,帯の幅が rΔθr\Delta\theta になります(帯の幅は,上図の青い線の長さ,つまり「半径が rr で中心角が Δθ\Delta\theta であるおうぎ形」の弧の長さです)。

球の表面積の求め方2

次に球の体積公式を用いた方法です。

球の体積を rr で微分したものが球の表面積になることが分かります。

証明

半径 tt の球の表面積を S(t)S(t) と書く。半径 rr の球を「薄い球殻」を寄せ集めたものとみなして体積を求める。

球の表面積の証明2

三次元空間において原点からの距離が tt 以上 t+Δtt+\Delta t 以下の間にある部分を考える(このような図形を球殻と呼ぶ)。

Δt\Delta t が十分小さいとき,この球殻の体積は S(t)ΔtS(t)\Delta t とみなせる(表面積×厚さ)。このような球殻を t=0t=0 から t=rt=r まで寄せ集めたものが半径 rr の球であり,体積は 43πr3\dfrac{4}{3}\pi r^3 である。

よって,Δt0\Delta t\to 0 の極限で

0rS(t)dt=43πr3 \int_0^{r}S(t)dt=\dfrac{4}{3}\pi r^3

両辺を rr で微分すると S(r)=4πr2S(r)=4\pi r^2 を得る。

球の表面積の求め方3

上記の二つの導出方法よりも感覚的な説明になってしまいますが,以下の見方も面白いです。

説明

内接球の半径を求める一般的な公式より,(内接球が存在するような)任意の多面体において,V=13rSV=\dfrac{1}{3}rS が成立する。

球に限りなく近い多面体についても

V=13rS V=\dfrac{1}{3}rS

が成立するので,極限を考えることで球についても

S=3Vr=4πr2 S=\dfrac{3V}{r}=4\pi r^2

円の面積や周の長さの公式と同様に重要な公式なので,しっかりと理解しましょう。