無限等比級数の収束,発散の条件と証明など
のとき,
無限等比級数の意味・公式・例題をわかりやすく解説します。
無限等比級数とは
無限等比級数とは
は初項が で公比が の等比数列です。
この各項を足し合わせた無限和 のことを無限等比級数と言います。
例えば, は である無限等比級数です。
無限等比級数の公式
無限等比級数の公式
冒頭で述べたように,公比 が を満たすとき, が成立します。
という無限等比級数を計算せよ。
初項 ,公比 として無限等比級数の公式を使うと,
余談:図による説明
公式を知らなくても,例題1の級数が に収束することは下図を見れば納得できます。
発散する無限等比級数の例
発散する無限等比級数の例
以下,初項について とします。
無限等比級数は の場合は収束しますが, の場合は収束せず発散します。より詳しく言うと,
- のとき正の無限大に発散(→例題2)
- のとき負の無限大に発散(→例題3)
- のとき振動(→例題4)
という無限等比級数は収束するか?
初項が ,公比が である無限級数なので,発散する(正の無限大に発散する)。
という無限等比級数は収束するか?
初項が ,公比が である無限級数なので,発散する(負の無限大に発散する)。
という無限等比級数は収束するか?
公比が である無限級数なので,発散する(振動する)。
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無限等比級数の公式の証明
無限等比級数の公式の証明
では,以下の無限等比級数の公式を証明してみましょう。
とする。
-
のとき,
-
のとき,上記の級数は発散する。
等比数列の和の公式を知っていれば,極限を取るだけで簡単に証明できます。ただし, の場合は等比数列の和の形が異なるので場合分けが必要です。
-
のとき,求める無限級数の値は となり発散。
-
のとき,無限等比級数の第 項目までの和を とおく:
これは,等比数列の和の公式より簡単に計算できる→等比数列の和の公式(例題・証明・応用):
求める無限級数の値は である。
これは, のとき に収束, のときに発散する。
補足
補足
-
をシグマを使って表すと,
となります。 -
等比数列の和の公式 よりも無限等比級数の公式 の方が綺麗です。これは,極限を取る操作のおかげで の項が消えるためです。
-
「無限級数」という言葉は「無限項の和」を表します。「無限級数の和」という言葉にはやや違和感を感じます(頭痛が痛いみたいな感じ)。
-
に収束する場合について,以下が成立するのは直感的にも納得できます。
- 無限等比級数の値が初項 に比例する
- 公比 が に近いほど(絶対値が)大きくなり で発散する
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