垂直二等分線

定義

線分 AB\mathrm{AB}垂直二等分線とは,AB\mathrm{AB} の中点を通り AB\mathrm{AB} と直交する直線のこと。

垂直二等分線の作図方法・応用・関連する計算を紹介します。

作図方法

線分 AB\mathrm{AB} の垂直二等分線の作図方法です。

pic01 手順1:コンパスで点 A\mathrm{A},点 B\mathrm{B} を中心とした同じ半径の円弧を描く pic02

手順2:2つの交点を線分で結ぶ(赤い線) pic03

簡単ですね。ただし,手順1では半径を少し大きめにとっておき、2つの円が2点で交わるようにしましょう。

作図の正しさの証明

上記の作図方法で垂直二等分線が引けていることを証明をします。

証明

2つの円の半径は同じであるため,AC=AD=BC=BD\mathrm{AC} = \mathrm{AD} = \mathrm{BC} = \mathrm{BD} である。したがって四角形 ABCD\mathrm{ABCD} はひし形である。よって2つの対角線 AB\mathrm{AB}CD\mathrm{CD} は垂直に交わり,その交点 H\mathrm{H} が 線分 AB\mathrm{AB} の中点となる。

垂直二等分線の応用

線分 AB\mathrm{AB} に対して,

P\mathrm{P}AB\mathrm{AB} の垂直二等分線上にある     \iff AP=BP\mathrm{AP} = \mathrm{BP}

となります。この事実は大変重要で,これ以降紹介する応用のミソとなります。

中点の作図

垂直二等分線の作図は,中点の作図にも使えます。

さきほど見たように,垂直二等分線と元の線分の交点は中点を与えます。

外接円の作図

垂直二等分線の作図は,外接円の作図にも使えます。

ABC\triangle \mathrm{ABC} に対して,その外接円を作図してみましょう。

外心(外接円の中心)を O\mathrm{O} とすると,OA=OB=OC\mathrm{OA} = \mathrm{OB} = \mathrm{OC} です。先ほど紹介した事実を思い出すと O\mathrm{O} が直線 AB\mathrm{AB} の垂直二等分線上にあることがわかります。同じく BC\mathrm{BC}CA\mathrm{CA} の垂直二等分線上にもあります。

よって,三角形の各辺の垂直二等分線の交点が外接円の中心です。。

3直線が1点で交わることを踏まえると,作図する際は2本の垂直二等分線で十分です。詳しくは下の図を見てください。

pic00

垂直二等分線の直線の式

座標平面上に2点が与えられたとき,その垂直二等分線の式を計算しましょう。

定理

座標平面上の2点 A(x1,y1),B(x2,y2)\mathrm{A} (x_1 , y_1) , \mathrm{B} (x_2 , y_2) を結んだ線分の垂直二等分線は (x2x1)x+(y2y1)y=x22x122+y22y122 (x_2 - x_1) x + (y_2 - y_1)y = \dfrac{x_2^2 - x_1^2}{2} + \dfrac{y_2^2 - y_1^2}{2} で与えられる。

覚える必要はないですが,導出できるようになっておきましょう。

まずは素直に直線の式を考える方法から紹介します。

素直に計算をする証明

直線 AB\mathrm{AB} の傾きは y2y1x2x1\dfrac{y_2 - y_1}{x_2 - x_1} であるため,垂直二等分線の傾きは x2x1y2y1- \dfrac{x_2 - x_1}{y_2 - y_1} である。垂直二等分線は AB\mathrm{AB} の中点 (x1+x22,y1+y22)\left( \dfrac{x_1 + x_2}{2} , \dfrac{y_1 + y_2}{2} \right) を通る。よって y=x2x1y2y1(xx1+x22)+y1+y22 y = -\dfrac{x_2 - x_1}{y_2 - y_1} \left( x - \dfrac{x_1 + x_2}{2} \right) + \dfrac{y_1 + y_2}{2}

となる。整理すると,定理の式を得る。(x1=x2x_1=x_2y1=y2y_1=y_2 のときは傾きの議論は使えないが,定理の式は正しい)

このような計算をするのは骨が折れます。直交することをもう少しうまく使いたいですね。さてここで直交するベクトルの内積が 00 であることを思い出しましょう。

ベクトルを用いた証明

AB\mathrm{AB} の中点を H\mathrm{H},垂直二等分線上の任意の点を P(x,y)\mathrm{P} (x,y) とおく。AB\mathrm{AB}HP\mathrm{HP} は直交するため,ABundefinedHPundefined=0\overrightarrow{\mathrm{AB}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{HP}} = 0 である。

P\mathrm{P}H\mathrm{H} と異なるときを考える。

ABundefined=(x2x1y2y1)HPundefined=(xx1+x22yy1+y22) \overrightarrow{\mathrm{AB}} = \begin{pmatrix} x_2 - x_1 \\ y_2 - y_1 \end{pmatrix}\\ \overrightarrow{\mathrm{HP}} = \begin{pmatrix} x - \dfrac{x_1 + x_2}{2} \\ y - \dfrac{y_1 + y_2}{2} \end{pmatrix} であるため内積を計算すると (x2x1)(xx1+x22)+(y2y1)(yy1+y22)=0 (x_2 - x_1) \left( x - \dfrac{x_1 + x_2}{2} \right) + (y_2 - y_1) \left( y - \dfrac{y_1 + y_2}{2} \right) = 0 である。式を整理することで求めるべき式が得られる。

またこの式は P\mathrm{P}H\mathrm{H} であるときも含む。

最後に垂直二等分線上の点 P\mathrm{P} に対して AP=BP\mathrm{AP} = \mathrm{BP} であることを用いた方法です。

線分の長さが等しいことを用いた証明

P(x,y)\mathrm{P} (x,y) を垂直二等分線上の任意の点とする。このとき AP2=BP2\mathrm{AP}^2 = \mathrm{BP}^2 である。ゆえに (xx1)2+(yy1)2=(xx2)2+(yy2)2 (x-x_1)^2 + (y-y_1)^2 = (x-x_2)^2 + (y-y_2)^2 である。 x22x1x+x12+y22y1y+y12=x22x2x+x22+y22y2y+y222{(x2x1)x+(y2y1)y}=x22x12+y22y12(x2x1)x+(y2y1)y=x22x122+y22y122 x^2 - 2x_1 x + x_1^2 + y^2 - 2y_1 y + y_1^2 = x^2 - 2x_2 x + x_2^2 + y^2 - 2y_2 y + y_2^2\\ 2\{ (x_2 - x_1) x + (y_2 - y_1) y \} = x_2^2 - x_1^2 + y_2^2 - y_1^2\\ (x_2 - x_1) x + (y_2 - y_1)y = \dfrac{x_2^2 - x_1^2}{2} + \dfrac{y_2^2 - y_1^2}{2} である。

垂直二等分線の作図は,作図の基礎中の基礎です。