一次不等式の解き方と検算方法

一次不等式の解き方をわかりやすく解説します。一次不等式は3つのポイントをおさえれば確実に解けます。

  1. 移項できる

不等式のポイント1

不等式では,方程式と同じく両辺に同じ数を足したり引いたりできる。つまり移項できる。

例題1

3x2x+43x\geqq 2x+4 という一次不等式を解け。

解答

右辺の 2x2x を左辺に移項すると, 3x2x43x-2x\geqq 4 左辺は 3x2x=x3x-2x=x なので,答えは x4x\geqq 4

  1. 両辺にプラスの数をかけたり割ったりできる

不等式のポイント2

cc が正の数なら,不等式の両辺に同じ数 cc をかけたり割ったりできる。

例題2

3x<63x< 6 という不等式を解け。

解答

不等式の両辺を 33 で割る(33 は正の数なので大丈夫): x<2x< 2

例題3

12x4\dfrac{1}{2}x\geqq 4 という不等式を解け。

解答

不等式の両辺に 22 をかける(22 は正の数なので大丈夫): x8x\geqq 8

  1. マイナスの数をかけるときは符号が反対になる

不等式のポイント3

cc が負の数の場合,不等式の両辺に同じ数 cc をかけたり割ったりすると不等号の向きが変わる

例えば \leqq\geqq になります。>><< になります。

例題4

2x6-2x\leqq 6 という不等式を解け。

解答

不等式の両辺を 2-2 で割る。2-2 は負の数なので不等号の向きが逆になる: x3x\geqq -3

例題5

15x>2-\dfrac{1}{5}x>2 という不等式を解け。

解答

不等式の両辺に 5-5 をかける。5-5 は負の数なので不等号の向きが逆になる: x<10x< -10

一次不等式の検算方法

一次不等式では,答えに出てきた数値をもとの不等式に代入して,両辺の値が等しくなることを確認するという検算テクニックがあります。

例えば,以下のような感じです、

  • 例題4の不等式 2x6-2x\leqq 6 を解いたら x3x\geqq -3 になった。答えに出てきた数値 3-3 をもとの不等式の xx に代入すると左辺は 66 となり右辺と等しい!

  • 例題5の不等式 15x>2-\dfrac{1}{5}x>2 を解いたら x<8x<-8 になった。答えに出てきた数値 8-8 をもとの不等式の xx に代入すると左辺は 85-\dfrac{8}{5} で右辺と一致しない! これはどこかで計算ミスをしている…。

一次不等式の問題

不等式のポイント1~3を理解できていれば確実に解けます。

検算の例も合わせて紹介します。

例題6

2x+13>5x+532x+\dfrac{1}{3}>5x+\dfrac{5}{3} という不等式を解け。

分数が含まれていますが,ポイント1~3を理解していれば解けます。

解答

5x5x13\dfrac{1}{3} を以項すると, 2x5x>53132x-5x>\dfrac{5}{3}-\dfrac{1}{3} 3x>43-3x>\dfrac{4}{3} 両辺を 3-3 で割る(3-3 は負なので符号が変わる): x<49x<-\dfrac{4}{9}

検算: 出てきた数値 49-\dfrac{4}{9} をもとの式に代入すると,

  • 左辺は 2×(49)+13=89+39=592\times\left(-\dfrac{4}{9}\right)+\dfrac{1}{3}=-\dfrac{8}{9}+\dfrac{3}{9}=-\dfrac{5}{9}
  • 右辺は 5×(49)+53=209+159=595\times\left(-\dfrac{4}{9}\right)+\dfrac{5}{3}=-\dfrac{20}{9}+\dfrac{15}{9}=-\dfrac{5}{9}

となり一致します。

例題7

2x+31|2x+3|\leqq 1 という不等式を解け。

絶対値を含む場合は,絶対値の中身の符号で場合分けをします。→絶対値の意味と性質・絶対値を含む式の計算方法

解答

2x+302x+3\geqq 0 の場合

  1. まず 2x+302x+3\geqq 0 を解くと,
    2x32x\geqq -3,つまり x32x\geqq -\dfrac{3}{2}
  2. このとき,2x+3=2x+3|2x+3|=2x+3 なので,もとの不等式は 2x+312x+3\leqq 1
    これを解くと 2x22x\leqq -2,つまり x1x\leqq -1

以上より,32x1-\dfrac{3}{2}\leqq x\leqq -1

2x+3<02x+3 < 0 の場合

  1. まず 2x+3<02x+3< 0 を解くと,
    2x<32x< -3,つまり x<32x< -\dfrac{3}{2}
  2. このとき,2x+3=(2x+3)|2x+3|=-(2x+3) なので,もとの不等式は 2x31-2x-3\leqq 1
    これを解くと 2x4-2x\leqq 4,つまり x2x\geqq -2

以上より,2x<32-2\leqq x < -\dfrac{3}{2}

2つの場合の結果を合わせると,答えは 2x1-2\leqq x\leqq -1

検算: 出てきた数値 2,1-2,-1 をもとの式に代入すると,どちらの場合も両辺ともに 11 になります。

→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT128では,場合分けをしない別解を2つ紹介しています。

こういうちょっとした検算方法をたくさん知っていると計算ミスがかなり減ります。

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