二次不等式の解き方(2通りの考え方)と例題
二次不等式とは, というような,二次の項を含む不等式のことです。
この記事では,
- グラフを描くことで二次不等式を解く方法
- 因数分解をすることで二次不等式を解く方法
をそれぞれ解説します。二つとも結局やることは同じになりますが,考え方は違います!
1.グラフ書いて二次不等式を解く
1.グラフ書いて二次不等式を解く
二次不等式 を解け。
を解きたい
が正となる を求めたい
という二次関数のグラフが 軸より上側にあるような を求めたい
というわけで, のグラフの概形を描く。これは下に凸な放物線。
軸との交点の座標が必要になるので を解く。
より となる。
よって,図より答えは
このように, 二次不等式は,二次関数のグラフを描くことで解けます。
2.因数分解して二次不等式を解く
2.因数分解して二次不等式を解く
さきほどの二次不等式 を,因数分解で解いてみましょう。
左辺を因数分解すると となる。
の符号は,
- のときマイナス×マイナスでプラス
- のときプラス×マイナスでマイナス
- のときプラス×プラスでプラス
よって, がプラスになる部分が答えなので,
このように, 二次不等式は,因数分解することで解けます。
グラフか因数分解か
グラフか因数分解か
二次不等式を解く際の考え方を2つ紹介しました。
考え方1「グラフを描いて 軸より上側(下側)にある部分を採用」
考え方2「因数分解して符号を直接調べる」
多くの教科書では考え方1を採用しています。
二次不等式の場合,どちらも結局やることとしては同じ(方程式 を解くことになる)です。しかし,より複雑な不等式を解く際には,考え方2も重要なので理解しておいてください!
二次不等式のもう少し難しい例題
二次不等式のもう少し難しい例題
二次不等式 を解け。
という二次関数のグラフが 軸より下側( 軸上もOK)にあるような を求めたい。
というわけで, のグラフの概形を描く。
軸との交点の座標が必要になるので を解く。
となる。
よって,図より答えは
左辺を因数分解したいが簡単にできなさそう。そこで因数定理を使う。
左辺を因数分解するために を解く。
解の公式より が求まる。
よって,左辺は と因数分解できる。この符号を調べればよい。
- のときマイナス×マイナスでプラス
- のときプラス×マイナスでマイナス
- のときプラス×プラスでプラス
よって答えは つまり
→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT51では,本問のような2次不等式で計算ミスをしないためのコツも紹介しています。
二次方程式の解が存在しない場合
二次方程式の解が存在しない場合
二次方程式 に実数解が存在しない場合は(グラフの概形を描いてもよいですが)平方完成すればOKです!
二次不等式 を解け。
左辺は となり,任意の実数 に対して不等式は成立する。
二次不等式 を解け。
左辺は となり,任意の実数 に対して不等式は成立しない。つまり解なし。
二次不等式も嫌いではありませんが,私は多変数の対称な不等式が好きです!