円の方程式と関連問題|座標・ベクトル・複素数
座標平面における円の方程式には以下の2つの形がある:
この記事では,円の方程式について解説します。
座標平面の円の方程式
座標平面の円の方程式
中心と半径による形
中心が で半径が の円の方程式は,
-
例1:中心が で半径が の円の方程式を考えます。 とすると,円の方程式は となります。
-
例2:中心が で半径が の円の方程式を考えます。 とすると,円の方程式は となります。
円周上の点の座標を とおくと, からの距離が なので,二点間の距離の公式(三平方の定理)から に対して以下が成り立ちます(必要条件)。
(なお,この式の導出については,詳しくは 平面,空間上の2点間の距離について をご覧ください。)
逆にこの方程式を満たす は全て からの距離が の点です(十分条件)。
よって,中心が で半径が の円を表す方程式は となります。
円の方程式(一般形)の中心と半径
円の方程式の「中心と半径による形」を説明しました。これをもとに,今度は「一般形」で表された円の方程式について考えます。
という式は, のとき円を表す。円の中心と半径は平方完成で求めることができる。
例として, という方程式で表される図形について考えてみます。 に注意して左辺を変形(平方完成)すると,上の方程式は となります。さきほどの「中心と半径による形」を思い出すと,中心が で半径が の円を表すことがわかります。
より一般に, という式は, と変形できるので, のとき円を表すことがわかります。
ベクトル方程式で円を表す
ベクトル方程式で円を表す
円の中心をベクトルの始点,円周上の点を終点とみることで,円をベクトル方程式で表せます。
中心 (位置ベクトル ),半径 の円のベクトル方程式:
また,直径の両端が分かるときもベクトル方程式で表せます。→ベクトル方程式の公式一覧
直径の両端が の円のベクトル方程式:
複素数平面上の円の方程式
複素数平面上の円の方程式
複素数平面上の円の方程式は,複素数の絶対値が原点との距離を表すことを利用して導出します。→複素数の絶対値の定義といろいろな性質
中心が で半径が の方程式を求めてみましょう。
円周上の点を とおくと, と の距離が なので, と表せます。
より一般に,以下が成立します。
複素数平面上で,中心 半径 の円の方程式:
また,この式を変形すると,
となります。この形をみたときには円の方程式を思い出しましょう。
円の方程式に関する問題
円の方程式に関する問題
直径の両端がわかっている場合の方程式
2点 が直径の両端である円の方程式を求めなさい。
円の中心と半径を求めれば円の方程式が計算できる。
- 円の中心は2点の中点なので
- 半径は2点間の距離公式より
よって,円の方程式は
ベクトル方程式をもとに考えることもできます。
円周上の点 の座標を として,
が成立するので,これを成分表示して
となり,整理すると
複素平面上で考えることもできます。
複素平面上で考えると,点 , はそれぞれ点 , である。
, とおき,求める円上の点を とおく。円周角の定理より
これより
これは
を表す。代入して
これより
これを整理すると同じ結果を得る。
2円の位置関係
半径が の2円 の中心間の距離を とおくと,以下のようにまとめられます。
- のとき,2円は包含関係にある。(図1)
- のとき,2円は内接する。(図2)
- のとき,2円は交わる。(図3)
- のとき,2円は外接する。(図4)
- のとき,2円は離れている。(図5)
以下の方程式で表される2つの円の位置関係を答えなさい。
より, は中心が で半径が の円の方程式, は 中心が で半径が の円の方程式と分かります。
それぞれの中心間の距離は で,半径の和が なので,2円は外接することが分かります。
円の接線の方程式
中心 半径 の円の における接線の方程式を求めなさい。
円の接線の方程式は,接点の座標がわかるとき,公式で求められます。→円の接線の方程式の公式
円の方程式は なので, における接線の方程式は
【発展】円の方程式と陰関数・陽関数
【発展】円の方程式と陰関数・陽関数
円の方程式は,上で見たように,一般的に
あるいは
のように表されることがわかりました。円の方程式は,このように
のかたちで表される陰関数となっています。
一方,円は1つの に対応する が2つ,1つの に対応する が2つあるので,円の方程式を1つの陽関数で表すことはできません。例えば陰関数 を陽関数で表すと
のようになります。
陰関数・陽関数については,詳しくは 陰関数と陽関数の意味と違いについて を参照してください。
円の方程式の左辺は と の二次式です。円は「二次曲線」と呼ばれる曲線の一種です。