ベクトルを用いた証明を2つ紹介します。
ポイント
今回の証明のポイントは,重心のベクトルの性質にあります。
AG+BG+CG=0
重心の性質として
OG=3OA+OB+OC
(O は任意の点)が成り立ちます。
今 O=G を代入してみると
3GA+GB+GC=GG=0
となります。あとは辺々整理して
AG+BG+CG=0
が分かります。
この議論は重心について考えるとき,しばしば有効になります。ぜひ使いこなしてください。
証明1
XG を作り出し,XG≧0 という自明な式から結論を導きます。
証明
∣AX∣2=∣AG−XG∣2=∣AG∣2+∣XG∣2−2AG⋅XG
である。同様の式が BX,CX でも成立するため
AX2+BX2+CX2=(AG2+BG2+CG2)+3XG2−2(AG⋅XG+BG⋅XG+CG⋅XG)=(AG2+BG2+CG2)+3XG2−2(AG+BG+CG)⋅XG
が成り立つ。
今,G は三角形 ABC の重心であったため,
AG+BG+CG=0
である。よって
AX2+BX2+CX2=AG2+BG2+CG2+3XG2
となる。
XG2≧0(等号成立は P と G が一致するとき)であるため,
AX2+BX2+CX2≧AG2+BG2+CG2
(等号成立は P=G であるとき)が示された。
上記の証明により
AX2+BX2+CX2−3GX2
が
X
によらない不変量であることが分かります。
証明2
次は
GA2+GB2+GC2
をどんどん変形していき上から抑えます。
座標による証明よりも発想力が必要ですが,非常におもしろいです。
証明2
GA2+GB2+GC2=GA⋅(GX+XA)+GB⋅(GX+XB)+GC⋅(GX+XC)=GA⋅XA+GB⋅XB+GC⋅XC≦GA⋅XA+GB⋅XB+GC⋅XC
ただし,二行目から三行目への変形で
GA+GB+GC=0
を用いた。最終行への変形はベクトルの内積の定義を用いた。
さらにシュワルツの不等式より,
GA⋅XA+GB⋅XB+GC⋅XC≦(GA2+GB2+GC2)(XA2+XB2+XC2)
以上
2
つの不等式を合わせて目標の不等式を得る。