三角形の決定条件と自由度
更新
三角形の自由度は である。すなわち,三角形に関して(独立な)3個の情報が与えられたら残りの情報も分かる。
三角形の決定条件
三角形の決定条件
三角形に関して3個の情報が与えられたときに,残りの情報を求める問題を三角形の決定問題と言います。
「情報」としては各辺の長さや角度が与えられる場合がほとんどですが,面積や外接円の半径,内接円の半径などのが条件が3つ与えられても三角形は決定されるので「情報」という言葉を用いています。
三角形が完全に決定される場合
三角形が完全に決定される場合
1:三辺の長さ が与えられた場合
余弦定理から角 が求まります。
これは,「三辺の長さがそれぞれ等しい三角形は合同である」という事実と対応しています。
2:二辺の長さ とその間の角 が与えられた場合
余弦定理から が求まり,さらに余弦定理から が求まります。
これは,「二辺とその間の角がそれぞれ等しい三角形は合同である」という事実と対応しています。
3:一辺の長さ とその両端の角 が与えられた場合
内角の和が なので が求まり,正弦定理から が求まります。
これは,「一辺とその両端の角がそれぞれ等しい三角形は合同である」という事実と対応しています。
その他の例:外接円の半径 と2つの角 が与えられた場合
と正弦定理より が分かります。このように辺の長さや角度でなくても独立な3つの情報が与えられたら基本的には三角形の他の情報も求めることができるのです。
三角形が2通りに決定される場合
三角形が2通りに決定される場合
・二辺の長さ とその間でない角 が与えられた場合
正弦定理から は求まりますが, は一意的に決まりません。 の候補は2つでてきます。 が分かれば は求まるので三角形の候補は2通りになります。2通りともOKな場合もありますし,辺の長さの条件から1通りに絞られる場合もあります。
例えば図では も も与えられた条件を満たすので答えが2つ存在するパターンです。
ひと通りに定まらないのは の範囲で の解が一意に定まらないのが原因です。このような事態が生じると余分な議論が必要になるので, 角度を求めるときはできるだけ正弦定理より余弦定理を用いるようにしましょう。( なら解が一意に定まる)
三角形が決定されない場合
三角形が決定されない場合
独立でない例1:3つの角が与えられた場合
辺の長さ は分かりません。
内角 には という関係があり,2つ分かれば3つ目も分かります。つまり3つ目の情報は冗長なのです。このような3つの情報は独立ではないので三角形を決定することはできません。
独立でない例2: と と が与えられた場合
残りの情報は分かりません。
正弦定理から という関係があり, の2つ分かれば3つ目も分かります。つまり3つ目の情報は冗長なのです。このような3つの情報は独立ではないので三角形を決定することはできません。
中学校で習った三角形の合同条件が懐かしい!