定義
定理
レムニスケート関数 sl x を
∫0y1−r4dr
の逆関数と定義する。
cl x を
∫y11−r4dr
の逆関数と定義する。
レムニスケート関数は三角関数の類似型です。実際,
arcsin は
arcsiny=∫0y1−t2dt
と表現することができることを思い出しましょう。→ 逆三角関数(Arcsin,Arccos,Arctan)の意味と性質
arcsin といった記法にならって
arcsl y=∫0y1−r4drarccl y=∫y11−r4dr
と表記します。
性質
レムニスケート関数には三角関数と似た関係式があります。
次の性質は逆関数の積分の形から従います。
性質1
レムニスケート関数は,2ϖ を周期とする関数である。
性質2
sl 0=0, sl 2ϖ=1, sl ϖ=0cl 0=1, cl 2ϖ=0, cl ϖ=−1
次の性質もまた積分を用いますが,少々計算が大変です。cos2x+sin2x=1 の類似と思ってください。
性質3
sl x+cl x+sl x cl x=1
証明
s=1+r21−r2 とおくと
ds=1+r2−1−r2r1+r2−1+r2r1−r2dr=−1−r4(1+r2)2r2dr
である。さて,
1−s4=1−(1+r2)2(1−r2)2=(1+r2)22r2
を用いると,
1−r4dr=−1−s4ds
が得らる。
従って,
∫0y1−r4dr=∫1+y21−y211−s4−ds
つまり
arcsl y=arccl 1+y21−y2
を得る。y=sl x を代入することで
x=arccl 1+sl2x1−sl2x
となる。逆関数の定義より
cl x=1+sl2x1−sl2x
である。整理することで式を得る。
次に紹介するものは加法定理の類型です。
性質4
sl (x+y)=1−sl x sl y cl x cl ysl x cl y+cl x sl ycl (x+y)=1−sl x sl y cl x cl ycl x cl y+sl x sl y
S=sl x cl y,C=cl x sl y とすると
sl (x+y)=1−SCS+C
となります。tan の加法定理を思わせる関係式になっています。
証明は省略します。
レムニスケート関数は,解析的整数論でしばしば登場する概念です。