第1問
判別式を用いる方法
fxfyfxxfxyfyy=2x+y=x+2y=2=fyx=1=2
より臨界点は
{2x+y=0x+2y=0
の解,すなわち (x,y)=(0,0) である。
(x,y)=(0,0) において,
fxx(0,0)Δ(0,0)=2>0=2×2−12=3>0
より,極小を取る。
極小値は
f(0,0)=0
である。
ヘッセ行列を用いる方法
fxfyfxxfxyfyy=2x+y=x+2y=2=fyx=1=2
より臨界点は
{2x+y=0x+2y=0
の解,すなわち (x,y)=(0,0) である。
(0,0) でのヘッセ行列は
(2112)
である。
この固有値は
∣∣2−t112−t∣∣=t2−4t+3
より固有値は 1,3 である。よってヘッセ行列は正定値で,極小を取ることが分かる。
第2問
解答
偏微分を計算する。
fxfyfxxfxyfyy=3x2+2y−1=2x+2y=6x=fyx=2=2
よって臨界点は
{3x2+2y−1=02x+2y=0
の解で
(x,y)=(1,−1),(−31,31)
である。
つまり極値の候補は二つ。
- (1,−1) について
fxx(1,−1)Δ(1,−1)=6>0=6×2−2×2=8>0
より極小値を取る。極小値は
f(1,−1)=1−2+1−1=−1
である。
- (−31,31) について
判別式は
Δ(−31,31)=−2×2−2×2=−4
より鞍点を取る。
ヘッセ行列でも計算しておきましょう。
ヘッセ行列は
(1,−1)
では
(6222)
-
一つ目の首座小行列式(11
成分の値)は
6>0
-
二つ目の首座小行列式は
6⋅2−2⋅2=8>0
よってヘッセ行列は正定値である。
よって,(1,−1)
は極小点であり極小値は
−1
答案で明示する必要はありませんが,鞍点であることを実際に確認してみましょう。
計算
平面 x+y=0 上で f(x,y) は x3−x2−x となる。これは x=−31 で極大値を取る。
一方,平面 x−y=−32 上で f(x,y) は x3+3x2+35x+94 となる。これは x=−31 で極小値を取る。
よって f(x,y) は (x,y)=(−31,31) で極大にも極小にもならない。
第3問
京大院の過去からの引用です。計算ボリュームがありますが頑張りましょう。
解答
まず臨界点を計算する。
fxfy=3ye−x2−y2−2x(3xy+1)e−x2−y2=(3y−6x2y−2x)e−x2−y2=(3x−6xy2−2y)e−x2−y2
より
{3y−6x2y−2x=03x−6xy2−2y=0⋯(1)⋯(2)
の解が臨界点である。(e−x2−y2=0 に注意)
解を計算すると
(x,y)=(0,0),(±61,±61),(±65,∓65)
となる。
2階微分を計算すると
fxxfxyfyy=2(6x3y+2x2−9xy−1)e−x2−y2=(12x2y2−6x2−6y2+4xy+3)e−x2−y2=2(6xy3+2y2−9xy−1)e−x2−y2
となる。
各点での判別式を計算する。
- (x,y)=(0,0) のとき
fxx(0,0)fxy(0,0)fyy(0,0)=−2=3=−2
より判別式は
Δ(0,0)=−2×(−2)−3×3=−13<0
より鞍点を取る。
- (x,y)=(±61,±61) のとき
fxxfxyfyy=−4e−31=2e−31=−4e−31
よって
fxxΔ=−4e−31<0=−4e−31×(−4e−31)−(2e−31)2=12e−31>0
であるため極大値を取る。
極大値は
f(±61,±61)=23e−31
となる。
- (x,y)=(±65,∓65) のとき
fxxfxyfyy=4e35=−2e−35=4e35
より
fxxΔ=4e35>0=4e35×4e35−(−2e35)2=12e310>0
より極小値を取る。
極小値は
f(±65,∓65)=−23e−35
となる。
第4問
3変数なので判別式は使えません。
偏微分の計算
f(x,y,z)=x3+y3+z3−3xy−3yz の偏微分を計算すると
fxfyfzfxxfyyfzzfxyfyzfzx=3x2−3y=3y2−3x−3z=3z2−3y=6x=6y=6z=−3=−3=0
となる。
臨界点の計算
臨界点は
⎩⎨⎧x2−y=0y2−x−z=0z2−y=0⋯(1)⋯(2)⋯(3)
の解である。
(1)−(3) より
x2−z2=0⋯(4)
を得る。よって x=±z を得る。
- x=z の場合
(2) に代入して y2−2x を得る。これと (1) より x4−2x=0 である。こうして x=0,32 を得る。
それぞれ代入して (x,y,z)=(0,0,0),(32,34,32) を得る。
- x=−z の場合
(2) に代入して y2=0 るまり y=0 を得る。(1),(3) に代入して x=z=0 を得る。
以上より臨界点 (x,y,z)=(0,0,0),(32,34,32) を得る。
極値の判定
- (x,y,z)=(0,0,0) のとき
ヘッセ行列は
⎝⎛0−30−30−30−30⎠⎞
である。
固有値は
∣∣t303t303t∣∣=t3−18t=0
の解である。よって t=0,±32 が固有値である。
ヘッセ行列からはこの点が極大か極小か分からない。
空間 y=z=0 上では f(x,0,0)=x3 である。これは x=0 近傍で極大も極小も取らないため,f(x,y,z) は (0,0,0) で極大でも極小でも取らない。
- (x,y,z)=(32,34,32) のとき
ヘッセ行列は
⎝⎛632−30−3634−30−3632⎠⎞
である。
首座行列式は
- 左上の 1×1 行列
632
- 左上の 1×1 行列
632×634−(−3)×(−3)=63
- 左上の 1×1 行列
==632×634×632−(−3)×(−3)×632−(−3)×(−3)×632 43232−5432−5432 32432
となる。これらはすべて正であるためヘッセ行列は正定値である。
よって極小値
f(32,34,32)=2+4+2−3×32×34−3×32×34=2+4+2−6−6=−4
を取ることが分かる。