例題1
公式に当てはめて計算をしましょう。
例題1の解答
∂r∂f=dxdf∂r∂x+dydf∂r∂y=yexycosθ+xexysinθ=rer2sinθcosθsinθcosθ+rer2sinθcosθsinθcosθ=2rer2sinθcosθsinθcosθ
∂θ∂f=dxdf∂θ∂x+dydf∂θ∂y=−yexyrsinθ+xexyrcosθ=−rer2sinθcosθsin2θ+rer2sinθcosθcos2θ=rer2sinθcosθ(cos2θ−sin2θ)
ごつごつした式になりましたね。問題で指定がなければ偏微分する変数(今回は r と θ)を用いて答案を書くのがベターだと思います。
例題2
∂x∂r=(∂r∂x)−1 とはなりません!
例題2の解答
まず r,θ を x,y で表すと,
rθ=x2+y2=arctanxy
となる。
f(t)=t,t=x2+y2 とおくと r(x,y)=f(t(x,y)) と表される。
g(s)=arctans,s=xy とおくと,θ(x,y)=g(s(x,y)) と表される。
これを用いて計算をする。
∂x∂r=dtdf∂x∂t=2t1⋅2x=x2+y2x
同じく計算して ∂y∂r=x2+y2y である。
また
∂x∂θ∂y∂θ=dsdg∂x∂s=1+s21⋅x2−y=−x2+y2y=dsdg∂y∂s=1+s21⋅x1=x2+y2x
である。
この結果から物体の運動について動径方向の変化量が
(x2+y2x,x2+y2y)
であり,回転方向の変化量が
(x2+y2−y,x2+y2x)
となることがわかります。
それぞれ直交する単位ベクトルですね。
例題3
∂x∂+∂y∂ をラプラシアンといいます。微積分にまつわる様々な場面で登場します。
この問題は連鎖律を活用することで簡単に解けます。
例題3の解答
r=x2+y2 とおくと f(r)=2logr である。f′(r)=r2,f′′(r)=−r22 である。
よって
∂x∂f∂x2∂2f=drdf∂x∂r=f′(r)⋅x2+y2x=f′(r)⋅rx=∂x∂(f′(r)⋅rx)=f′(r)∂x∂(rx)+rx∂x∂f′=f′(r)r2r−xrx+f′′(r)(rx)2=r42(r2−x2)−r4x2=r22−r23x2(後述)
と計算される。
なお,2行目から3行目は次のように計算する。
- 1項目
∂x∂(rx)=r21(r∂x∂x−x∂x∂r)=r21(1−xx2+y2x)=rr−rx2(商の微分)
- 2項目
∂x∂f′=drdf′∂x∂r=f′′(r)x2+y2x=f′′(r)⋅rx(連鎖律)
同様に計算すると
∂y∂f=r22−r23y2
であるため
∂x2∂2f+∂y2∂2f=r22−r23x2+r22−r23y2=r24−r23(x2+y2)=r21=x2+y21
となる。
このアイデアは球面座標系のラプラシアンに繋がります。
気になる人は調べてみてください。
例題4
総まとめということで計算を頑張っていきましょう!
例題4の解答
連鎖律を用いると
∂r∂f∂θ∂f=∂x∂f∂r∂x+∂y∂f∂r∂y=∂x∂fcosθ+∂y∂fsinθ=∂x∂f∂θ∂x+∂y∂f∂θ∂y=−∂x∂frsinθ+∂y∂frcosθ
となる。辺々2乗すると
(∂r∂f)2=(∂x∂fcosθ+∂y∂fsinθ)2=(∂x∂f)2cos2θ+2∂x∂f∂y∂fcosθsinθ+(∂y∂f)2sin2θ(∂θ∂f)2=(−∂x∂frsinθ+∂y∂frcosθ)2=r2(∂x∂f)2sin2θ−2∂x∂f∂y∂fr2cosθsinθ+r2(∂y∂f)2cos2θ
これらを足すと
(∂x∂f)2+(∂y∂f)2=(∂r∂f)2+r21(∂θ∂f)2
となる。
疲れましたね! 例題3のテクニックは是非覚えておいてください!