階乗進法,素数階乗進法,e進法
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2進法,10進法はなじみ深いと思います。この記事では,その仲間である「階乗進法」「素数階乗進法」「 進法」について紹介します。
10進法の復習
10進法の復習
10進法とは のことを と表す方法でした。ただし,各 は なる整数です。→二進法と十進法の変換方法と計算例
階乗進法
階乗進法
階乗進法とは, のことを と表す方法です。ただし,各 は なる整数です(そのため です)。
なので を階乗進法で表すと
性質
任意の正の整数は1通りの階乗進数として表される。
までで表せる階乗進数の最大は であるが,これがちょうど と一致する(※)。そこから 増えると になり, に繰り上がることからわかる(厳密には帰納法で定理1を証明できる)。
以下,※(つまり以下の等式)を証明する:
数学的帰納法で示す。 のときは両辺 となり成立。
のとき成立すると仮定して, のときの左辺を計算すると,
となり の場合の右辺と一致する。
素数階乗進法
素数階乗進法
正の整数 に対して, 以下の素数すべての積を と書き,素数階乗と呼びます。例えば, です。
素数階乗進法とは,階乗進法における「階乗」を「素数階乗」におきかえて係数 の範囲を調整したものです。つまり, のことを と表す方法です。ただし,
- は 番目の素数(かつ )
- 各 は なる整数 です。
なので, を素数階乗進数で表すと
の範囲をうまいこと調整したおかげで以下の定理が成立します。
任意の正の整数は1通りの素数階乗進数として表される。
階乗進法の場合とほぼ同じ。 までで表せる素数階乗進数の最大は であるが,これがちょうど と一致する(※)。そこから 増えると になり, に繰り上がることからわかる。
以下,※(つまり以下の等式)を証明する:
左辺のシグマの中身は である。よって,和を取ると途中の項が打ち消し合って が残る。
e進法
e進法
2進法,3進法,10進法などありますが,何進法が一番「効率が良い」か考えてみましょう。
進法で ケタの数を表す場合を考えます。
- を表す 個の記憶素子が ケタぶんで合計 個必要です。
- 表現できる状態数は です。情報量にすると です。→情報量の意味と対数関数を使う理由
よって,情報量 を表現するのに必要な記憶素子の数は,
これを最小にする を求めると,
- 正の整数の範囲では
- 実数の範囲では
となります。つまり,ある意味で3進法は2進法よりも「効率が良い」といえます。さらに,整数でない進法を認めれば「 進法が効率が良い」ということもできます(上記の議論は が整数であることを前提としているので,この主張は無理がありますが)。
他にも黄金進法というものもあります。→黄金進法の意味とおもしろい定理
何に使うのかよくわかりませんが、おもしろい話題です。