ワイエルシュトラスのM判定法
更新
ワイエルシュトラスのM判定法は関数列の一様収束性を示すのに使える定理です。
を集合 上の実数値関数列とする。
各 に対して,任意の に対して となる定数 があり, が収束するなら, は一様収束する。
※上記の「実数値関数列」を「複素数値関数列」としても定理は成立します。
この記事では 「一様収束の意味・一様収束だとなぜ嬉しいか?」を確認した上で,ワイエルシュトラスのM判定法を証明します。
一様収束
一様収束
定義
関数列 が に一様収束するとは,
が成立することを表します。大雑把に言うと が に( の値によらずに)一気に近づくというイメージです。→各点収束と一様収束の違いと具体例
嬉しさ
「一様収束」に関して,以下の性質が成立するので嬉しいです。
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連続関数列の一様収束先は連続である。
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一様収束するときは積分と極限が交換できる。つまり が に一様収束するとき, である。
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関数の無限和が一様収束するとき,項別微分・項別積分できる。つまり,関数列の和 が に一様収束するとき,
2の詳細は 積分と極限(無限和)の交換,3の詳細は 項別微分・項別積分 で解説しています。
※2に関する注意点:
一様収束するとき,積分と極限が交換できましたが,微分と極限は交換できません。例えば とすると は に収束しますが, は に収束しません。
M判定法の証明
M判定法の証明
まず,各 に対して, は収束する(比較判定法※)。
よって, とおく。これが一様収束であることを示す。
任意の で である。
で であるため を得る。
※「 よりも の方が強い」かつ「 による級数が収束する」ので,より弱い による級数も収束する,というイメージです。
ワイエルシュトラスのM判定法は解析の分野で頻繁に登場します。