リュカ数の意味とおもしろい性質~フィボナッチ数列の拡張
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で定まる数列 に現れる数をリュカ数と呼ぶ。
リュカ数について,3つの話題を紹介します。「一般項」と「フィボナッチ数との加法定理」は大学入試レベルです。最後の「三角関数表示」では複素三角関数が登場します。
リュカ数の意味
リュカ数の意味
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小さい方からリュカ数を計算してみると,
となります。 -
「前の2項の足し算で次の項が定まる」数列です。
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この規則はフィボナッチ数列と同じですが,初期条件が異なります。フィボナッチ数列は です。
一般項
一般項
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黄金比 が登場しています。→黄金比が現れるいろいろな例(方程式・図形・数列)と現れる理由
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フィボナッチ数列 の一般項と似ています: →フィボナッチ数列の8つの性質(一般項・黄金比・互いに素)
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リュカ数を定める漸化式は三項間漸化式なので,三項間漸化式の3通りの解き方のどの方法でも一般項を計算できます。特性方程式で計算してみましょう。
という漸化式を解きたい。
特性方程式 の解を とおくと, より
これを変形して,
よって, は公比 の等比数列となる:
同様にして,
この2式から を消去して について解く: こうして示された。
フィボナッチ数とリュカ数の関係式
フィボナッチ数とリュカ数の関係式
フィボナッチ数 とリュカ数 の間には以下の関係があります。
なんとなく三角関数の加法定理と似ていますね!
さきほど求めた一般項:
を代入するだけ:
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第1式
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第2式
リュカ数の三角関数表示
リュカ数の三角関数表示
ただし,
リュカ数が,虚数単位 と三角関数を使ってシンプルな式で表されています!
は複素数です。複素数 に対する三角関数は複素数の指数関数を用いて で定義されます。これを使って性質2を証明してみます。
「三角関数を微分すると位相が90度進む」が活躍するのがおもしろいです!