ハイポサイクロイド(特にデルトイド)の式と面積

更新日時 2021/07/13

ハイポサイクロイドと呼ばれる曲線の媒介変数表示と面積の求め方を紹介します。

目次
  • ハイポサイクロイドの式

  • ハイポサイクロイドの例

  • ハイポサイクロイドの面積

  • 円が転がるときの軌跡たち

ハイポサイクロイドの式

半径 RR の定円の内側を半径 r(<R)r\:(<R) の円が転がる状況を考えます。 ハイポサイクロイドの状況 図のように,赤い円が反時計回りに公転(時計回りに自転)します。

このとき,転がる円周上の1点 PP が描く軌跡(青い曲線)は以下の式で表せます。

ハイポサイクロイドの媒介変数表示

x=(Rr)cosθ+rcos(θRrθ)y=(Rr)sinθ+rsin(θRrθ)x=(R-r)\cos\theta+r\cos(\theta-\frac{R}{r}\theta)\\ y=(R-r)\sin\theta+r\sin(\theta-\frac{R}{r}\theta)

  • ただし,半径 RR の円の中心を原点とし,PP は転がる前の2つの円の接点 (R,0)(R,0) とします。
  • この曲線をハイポサイクロイドまたは内サイクロイドと言います。
媒介変数表示の導出

転がる円の中心を AA とおく。転がる円が θ\theta の向きまで転がったとき,つまり AA の座標が ((Rr)cosθ,(Rr)sinθ)((R-r)\cos\theta,(R-r)\sin\theta) となったときの PP の座標を求めたい。 ハイポサイクロイドの式の導出 転がる円は,時計回りに θ\theta 公転する間に,反時計回りに自転する。図のように α\alpha を定めると,rα=Rθr\alpha=R\theta となる。なぜなら,ここまで転がるまでに

  • 大きい円側において接した部分の弧の長さは RθR\theta
  • 小さい円側において接した部分の弧の長さは rαr\alpha

だからである。よって,α=Rrθ\alpha=\dfrac{R}{r}\theta

よって,
APundefined=(rcos(θα),rsin(θα))=(rcos(θRrθ),rsin(θRrθ))\overrightarrow{AP}=(r\cos(\theta-\alpha),r\sin(\theta-\alpha))\\ =(r\cos(\theta-\frac{R}{r}\theta),r\sin(\theta-\frac{R}{r}\theta))

よって,PP の座標は OPundefined=OAundefined+APundefined\overrightarrow{OP}=\overrightarrow{OA}+\overrightarrow{AP} より求める媒介変数表示の式を得る。

なお,第二項の位相をプラスにするために
x=(Rr)cosθ+rcos(Rrθθ)y=(Rr)sinθrsin(Rrθθ)x=(R-r)\cos\theta+r\cos(\frac{R}{r}\theta-\theta)\\ y=(R-r)\sin\theta-r\sin(\frac{R}{r}\theta-\theta)
と書くこともできますが,位相をプラスにしない方が式がきれい かつ 意味がわかりやすいと思います。

ハイポサイクロイドの例

  • R=2rR=2r の場合
    x=rcosθ+rcos(θ)=2rcosθy=rsinθ+rsin(θ)=0x=r\cos\theta+r\cos(-\theta)=2r\cos\theta\\ y=r\sin\theta+r\sin(-\theta)=0
    となり,xx 軸の一部(線分)を表します。 ハイポサイクロイドの例:線分

  • R=3rR=3r の場合
    x=2rcosθ+rcos(2θ)y=2rsinθrsin(2θ)x=2r\cos\theta+r\cos(2\theta)\\ y=2r\sin\theta-r\sin(2\theta)
    となります。これはデルトイド(Deltoid)と呼ばれる曲線です。 ハイポサイクロイドの例:デルトイド

  • R=4rR=4r の場合
    x=3rcosθ+rcos(3θ)=4rcos3θy=3rsinθrsin(3θ)=4rsin3θx=3r\cos\theta+r\cos(3\theta)=4r\cos^3\theta\\ y=3r\sin\theta-r\sin(3\theta)=4r\sin^3\theta
    となります。三倍角の公式を使ってきれいになるのが楽しいです。これはアステロイド(Asteroid)と呼ばれる曲線です。 ハイポサイクロイドの例:アステロイド

ハイポサイクロイドの面積

ハイポサイクロイドの面積

R=nrR=nr であるハイポサイクロイド: x=(n1)rcosθ+rcos{(n1)θ}y=(n1)rsinθrsin{(n1)θ}x=(n-1)r\cos\theta+r\cos\{(n-1)\theta\}\\ y=(n-1)r\sin\theta-r\sin\{(n-1)\theta\}

で囲まれた部分の面積は,S=(n1)(n2)πr2S=(n-1)(n-2)\pi r^2

ただし,nn22 以上の整数とします。

  • n=2n=2 の場合,曲線は線分であり確かに S=0S=0 です。
  • n=4n=4 の場合,S=6r2=38R2S=6r^2=\dfrac{3}{8}R^2 です。これはアステロイド曲線の重要な性質まとめ で計算した結果 と一致しています。
  • nn が十分大きいとき,つまり転がる円が小さいとき,S=(n1)(n2)n2πR2πR2S=\dfrac{(n-1)(n-2)}{n^2}\pi R^2\fallingdotseq \pi R^2 となり,ほぼ定円の面積と同じです。
  • n=3n=3(デルトイド)の場合で確認してみます。
デルトイドの面積の計算

SS は大雑把には ydx\displaystyle\int ydx の和 である。θ\theta での置換積分を考えると,積分区間がつながって,

S=02πydxdθdθS=-\displaystyle\int_{0}^{2\pi} y\dfrac{dx}{d\theta}d\theta

となる。これは,三角関数の直交性に注意して計算すると楽:

02π(2rsinθrsin2θ)(2rsinθ+2rsin2θ)dθ=2r202π(2sin2θsin22θ+sinθsin2θ)dθ=2r2×2π(2×1212)=2πr2\displaystyle\int_0^{2\pi}(2r\sin\theta-r\sin 2\theta)(2r\sin\theta+2r\sin 2\theta)d\theta\\ =2r^2\displaystyle\int_0^{2\pi}(2\sin^2\theta-\sin^2 2\theta+\sin\theta\sin 2\theta)d\theta\\ =2r^2\times 2\pi\left(2\times\dfrac{1}{2}-\dfrac{1}{2}\right)\\ =2\pi r^2

これは,S=(n1)(n2)πr2S=(n-1)(n-2)\pi r^2 と一致する。

ガウスグリーンの定理を使って計算することもできますが,計算は大変です。

一般の nn に対しても同様に計算できます。

円が転がるときの軌跡たち

  • 定円の内側を円が転がるとき,円周上の1点が描く軌跡がハイポサイクロイド(内サイクロイド)でした。
  • 定円の外側を円が転がるとき,円周上の1点が描く軌跡はエピサイクロイド(外サイクロイド)と言います。エピサイクロイドの例としては,カージオイドがあります。
  • 直線を円が転がるとき,円周上の1点が描く軌跡はサイクロイドです。
  • 定円の内側を円が転がるとき,転がる円の内部(または外部)の1点が描く軌跡を内トコロイドと言います。外トコロイドも同様です。

頭の中で円を転がしてデルトイドやアステロイドをイメージできたでしょうか!?