ハイポサイクロイド(特にデルトイド)の式と面積
ハイポサイクロイドと呼ばれる曲線の媒介変数表示と面積の求め方を紹介します。
ハイポサイクロイドの式
ハイポサイクロイドの式
半径 の定円の内側を半径 の円が転がる状況を考えます。 図のように,赤い円が反時計回りに公転(時計回りに自転)します。
このとき,転がる円周上の1点 が描く軌跡(青い曲線)は以下の式で表せます。
- ただし,半径 の円の中心を原点とし, は転がる前の2つの円の接点 とします。
- この曲線をハイポサイクロイドまたは内サイクロイドと言います。
転がる円の中心を とおく。転がる円が の向きまで転がったとき,つまり の座標が となったときの の座標を求めたい。 転がる円は,時計回りに 公転する間に,反時計回りに自転する。図のように を定めると, となる。なぜなら,ここまで転がるまでに
- 大きい円側において接した部分の弧の長さは
- 小さい円側において接した部分の弧の長さは
だからである。よって,。
よって,
よって, の座標は より求める媒介変数表示の式を得る。
なお,第二項の位相をプラスにするために
と書くこともできますが,位相をプラスにしない方が式がきれい かつ 意味がわかりやすいと思います。
ハイポサイクロイドの例
ハイポサイクロイドの例
-
の場合
となり, 軸の一部(線分)を表します。 -
の場合
となります。これはデルトイド(Deltoid)と呼ばれる曲線です。 -
の場合
となります。三倍角の公式を使ってきれいになるのが楽しいです。これはアステロイド(Asteroid)と呼ばれる曲線です。
ハイポサイクロイドの面積
ハイポサイクロイドの面積
であるハイポサイクロイド:
で囲まれた部分の面積は,
ただし, は 以上の整数とします。
- の場合,曲線は線分であり確かに です。
- の場合, です。これはアステロイド曲線の重要な性質まとめ で計算した結果 と一致しています。
- が十分大きいとき,つまり転がる円が小さいとき, となり,ほぼ定円の面積と同じです。
- (デルトイド)の場合で確認してみます。
ガウスグリーンの定理を使って計算することもできますが,計算は大変です。
一般の に対しても同様に計算できます。
円が転がるときの軌跡たち
円が転がるときの軌跡たち