差積の意味と置換の符号が定義できることの証明
個の変数の全てのペアの差の積:
を差積(最簡交代式,基本交代式)と言う。
差積について
差積について
のとき,
のとき,
のとき,
という感じです。
変数の差積は 次式です。
なお, の積ではなく, の積を差積と呼ぶこともあります。
差積は交代式
差積は交代式
差積は交代式である。
交代式とは,どの2つの変数を交換しても式が 倍されるような多項式のことです。
と ()を交換したときに差積が 倍されることを確認すればよい。
と を交換することで,
-
という部分は 倍される。
-
なる に対して, という部分は 倍される(つまりそのまま)。
-
なる に対して, という部分はそのまま。
-
なる に対して, という部分はそのまま。
-
他の部分には も も登場しないのでそのまま。
つまり,全体で 倍される。
差積と因数分解
差積と因数分解
偶置換,奇置換の証明
偶置換,奇置換の証明
差積の有名な応用例として,置換の符号が定義できることの証明をします。置換については→置換の基礎(互換・偶置換・奇置換・符号の意味)
次の置換 を互換の積で表すとき,その互換の数の偶奇は表し方によらない。
次の置換 と 変数多項式 に対して,
( の変数を によって並べ替えて得られる 変数多項式)と定義する。
置換の性質より である。
今, と(2通りの方法で)互換の積で表せたとする。
このとき,
である。ただし, が交代式なので互換の作用によって 倍されることを用いた。
同様に,
である。以上2式より と の偶奇は等しい。
ちなみに,差積はヴァンデルモンドの行列式としても有名です。