チェザロ平均の性質と関連する東大の問題
数列 に対して, をチェザロ平均という。そして,
なら
この定理に関連する東大入試の問題,およびこの定理の証明を解説します。
定理について
定理について
数列がだんだん に近づいていけば,そのチェザロ平均も に近づいていくという定理です。
直感的には納得しやすい定理ですが,厳密な証明も記事末に載せておきます(極限に関する定理なので厳密な証明には 論法を使います。高校数学範囲外です)。
なお,定理の逆は成立しません。例えば という数列を とすると,そのチェザロ和(チェザロ平均の収束先)は ですが, は収束しません(振動します)。
東大2006年理系第5問
東大2006年理系第5問
本当は(3)までありますが,ここでは(2)までのみ扱います。
とし,数列 を漸化式 によって定める。
(1) とおく。 のとき を示せ。
(2) を求めよ。
なお,(2)は冒頭の定理を使わなくても であることを使えば解けます。
ちなみに,2014年理系第2問(3)も冒頭の定理を知っていればすぐに答えが出せます。
定理の証明
定理の証明
それでは,冒頭の定理:
なら
を証明します。
なので,任意の に対してある が存在して, なら
よって, より大きい に対して
よって,
となるくらい大きい整数 を持ってくれば, なら
が成立する。つまり,
「チェ」とスムーズに入力するの,意外と難しいです。