2平面のなす角の定義と求め方

2つの平面 a1x+b1y+c1z+d1=0a_1x+b_1y+c_1z+d_1=0a2x+b2y+c2z+d2=0a_2x+b_2y+c_2z+d_2=0 のなす角を θ\theta とすると,

cosθ=a1a2+b1b2+c1c2a12+b12+c12a22+b22+c22\cos\theta=\dfrac{|a_1a_2+b_1b_2+c_1c_2|}{\sqrt{a_1^2+b_1^2+c_1^2}\sqrt{a_2^2+b_2^2+c_2^2}}

前提知識

  • 平面の方程式は ax+by+cz+d=0ax+by+cz+d=0 という1次式で表現できる。

  • (a,b,c)(a,b,c) というベクトルは,平面 ax+by+cz+d=0ax+by+cz+d=0 の法線ベクトル(平面と垂直なベクトル)。

これらの知識については平面の方程式とその3通りの求め方を参照して下さい。

以下の議論は2直線のなす角を求める2通りの方法と比較のコサインによる方法を3次元に拡張したものです。

2平面のなす角とは

まずは2平面のなす角をきちんと定義します。教科書(東京書籍)による定義です。

2平面α,βのなす角の定義

2平面の交線 ll 上の点 OO を通り,平面 α,β\alpha,\beta 上にそれぞれ ll と垂直な直線 lα,lβl_{\alpha},l_{\beta} を引く。 lαl_{\alpha}lβl_{\beta} のなす角をもとの2平面のなす角とする。

確かに「2平面のなす角」という感じがします。

注:当然ですが,2平面のなす角は OO の取り方によりません。

冒頭の公式の証明

lα,lβl_{\alpha},l_{\beta} という記号はさきほどの定義内と同じ意味で使います。2平面のなす角はそれぞれの法線方向がなす角と等しいというのがポイントです。

証明

平面 α\alpha の方程式を a1x+b1y+c1z+d1=0a_1x+b_1y+c_1z+d_1=0β\beta の方程式を a2x+b2y+c2z+d2=0a_2x+b_2y+c_2z+d_2=0 とする。

α\alpha の法線ベクトルは nαundefined=(a1,b1,c1)\overrightarrow{n_{\alpha}}=(a_1,b_1,c_1)

β\beta の法線ベクトルは nβundefined=(a2,b2,c2)\overrightarrow{n_{\beta}}=(a_2,b_2,c_2)

ここで,法線ベクトルの定義より,

  • nαundefined\overrightarrow{n_{\alpha}} は直線 lαl_{\alpha} と交線 ll の両方に垂直
  • nβundefined\overrightarrow{n_{\beta}} は直線 lβl_{\beta} と交線 ll の両方に垂直

よって,lαl_{\alpha}lβl_{\beta} のなす角は nαundefined\overrightarrow{n_{\alpha}} 方向の直線と nβundefined\overrightarrow{n_{\beta}} 方向の直線のなす角と等しい。 なす角 (交線 ll に垂直な平面を図示した)

よって求める角度を θ\theta とすると,

nαundefinednβundefined=nαundefinednβundefinedcosθ|\overrightarrow{n_{\alpha}}\cdot\overrightarrow{n_{\beta}}|=|\overrightarrow{n_{\alpha}}||\overrightarrow{n_{\beta}}|\cos\theta より,

a1a2+b1b2+c1c2|a_1a_2+b_1b_2+c_1c_2|

=a12+b12+c12a22+b22+c22cosθ\:=\sqrt{a_1^2+b_1^2+c_1^2}\sqrt{a_2^2+b_2^2+c_2^2}\cos\theta

となり冒頭の公式を得る。

注:ベクトルのなす角は 00^{\circ} 以上 180180^{\circ} 以下ですが,2平面のなす角は 00^{\circ} 以上 9090^{\circ} 以下です。(冒頭の公式において)分子には絶対値が必要です。

平面のなす角の意味は直感的には難しくありませんが,きちんと定義を言える人は少ない気がします。