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二直線のなす角を求める2通りの方法と比較

更新日時 2021/03/07

二直線のなす角は,2通りの方法で計算できる。

  • 方法1: tan\tan を求める
  • 方法2: cos\cos を求める

二直線なす角の求め方を2通り解説します。ベクトルのなす角の求め方や。2つの方法の間の美しい関係も紹介します。

目次
  • 二直線のなす角・ベクトルのなす角

  • 二直線のなす角を求める方法1(tan)

  • ベクトルのなす角の求め方

  • 二直線のなす角を求める方法2(cos)

  • 二つの方法の比較

  • 美しい関係

二直線のなす角・ベクトルのなす角

なす角

  • 二直線,a1x+a2y=0a_1x+a_2y=0b1x+b2y=0b_1x+b_2y=0 のなす角 θ\theta を求める問題を考えます。直線を平行移動してもなす角は変わらないので,原点を通る二直線のみ考えれば十分です。直線には向きがないので,なす角 θ\theta0θ900^{\circ}\leq \theta\leq 90^{\circ} を満たします。

  • ついでに,2つのベクトル,aundefined,bundefined\overrightarrow{a},\overrightarrow{b} のなす角 θ\theta' を求める問題も考えます。ベクトルには向きがあるので,なす角 θ\theta0θ1800^{\circ}\leq \theta'\leq 180^{\circ} を満たします。

直線のなす角」と「ベクトルのなす角」の違いに注意してください。

二直線のなす角を求める方法1(tan)

タンジェントの加法定理と,直線の傾き=tan=\tan であることを使います。

公式1

二直線,a1x+a2y=0a_1x+a_2y=0b1x+b2y=0b_1x+b_2y=0 のなす角 θ\theta

tanθ=a1b2a2b1a1b1+a2b2\tan\theta=\dfrac{|a_1b_2-a_2b_1|}{|a_1b_1+a_2b_2|} を満たす。

ただし,二直線のなす角が直角の場合,a1b1+a2b2=0a_1b_1+a_2b_2=0 になり,この公式は使えません。

この公式を覚える必要はありません。考え方が重要です。証明は以下の例題の解答と同様にして行うことができます。

例題

二直線 3xy=0\sqrt{3}x-y=0(23)xy=0(2-\sqrt{3})x-y=0 のなす角 θ\theta を求めよ。

二直線の傾きは,m1=3m_1=\sqrt{3}m2=23m_2=2-\sqrt{3} である。

なす角と加法定理

よって,タンジェントの加法定理より,

tanθ=m1m21+m1m2=2321+3(23)=1\tan\theta=\dfrac{m_1-m_2}{1+m_1m_2}\\ =\dfrac{2\sqrt{3}-2}{1+\sqrt{3}(2-\sqrt{3})}=1

となり θ=45\theta=45^{\circ}

注: a2=0a_2=0 または b2=0b_2=0 のときは傾きが存在しないので,この方法では証明できませんが,上記の公式が成立することが簡単に確認できます。公式1が使えないのは a1b1+a2b2=0a_1b_1+a_2b_2=0 のときのみです。

ベクトルのなす角の求め方

次は,ベクトルのなす角について考えます(あとで紹介する「直線のなす角を求める方法2」の準備にもなっています)。

ベクトルのなす角の公式

2つのベクトル,aundefined=(a1,a2)\overrightarrow{a}=(a_1,a_2)bundefined=(b1,b2)\overrightarrow{b}=(b_1,b_2) のなす角 θ\theta' は, cosθ=a1b1+a2b2a12+a22b12+b22\cos\theta=\dfrac{a_1b_1+a_2b_2}{\sqrt{a_1^2+a_2^2}{\sqrt{b_1^2+b_2^2}}} を満たす。

aundefined=(2,1)\overrightarrow{a}=(2,1)bundefined=(1,3)\overrightarrow{b}=(1,3) のなす角 θ\theta' を計算せよ。

公式より,cosθ=21+1322+1212+32=12\cos\theta'=\dfrac{2\cdot 1+1\cdot 3}{\sqrt{2^2+1^2}\sqrt{1^2+3^2}}=\dfrac{1}{\sqrt{2}}

つまり,θ=45\theta'=45^{\circ} になります。

ベクトルのなす角の公式の証明

ベクトルの内積を2通りで表す。

  • 成分表示すると a1b1+a2b2a_1b_1+a_2b_2
  • 長さを使うと,aundefinedbundefinedcosθ|\overrightarrow{a}||\overrightarrow{b}|\cos\theta'

よって,

(a1b1+a2b2)=a12+a22b12+b22cosθ(a_1b_1+a_2b_2)\\ =\sqrt{a_1^2+a_2^2}\sqrt{b_1^2+b_2^2}\cos\theta'

これを cosθ\cos\theta' について解くと公式を得る。

ちなみに,空間ベクトルのなす角も同様です。つまり,aundefined=(a1,a2,a3),bundefined=(b1,b2,b3)\overrightarrow{a}=(a_1,a_2,a_3),\overrightarrow{b}=(b_1,b_2,b_3) のなす角 θ\theta'cosθ=a1b1+a2b2+a3b3a12+a22+a32b12+b22+b32\cos\theta'=\dfrac{a_1b_1+a_2b_2+a_3b_3}{\sqrt{a_1^2+a_2^2+a_3^2}\sqrt{b_1^2+b_2^2+b_3^2}} を満たします。

二直線のなす角を求める方法2(cos)

ベクトルのなす角をふまえて,二直線のなす角を求める方法の2つめを解説します。使う道具は,

公式2

上記の問題設定のもと,二直線のなす角 θ\theta

cosθ=a1b1+a2b2a12+a22b12+b22\cos\theta=\dfrac{|a_1b_1+a_2b_2|}{\sqrt{a_1^2+a_2^2}{\sqrt{b_1^2+b_2^2}}} を満たす。

この公式も覚える必要はありません。証明は以下の例題の解答と同様にして行うことができます。

なす角と法線ベクトル

例題(再掲)

二直線 3xy=0\sqrt{3}x-y=0(23)xy=0(2-\sqrt{3})x-y=0 のなす角 θ\theta を求めよ。

解答

二直線の法線ベクトルはそれぞれ (3,1),(23,1)(\sqrt{3},-1),\:(2-\sqrt{3},-1) であるので,これらのなす角 θ\theta' を求めればよい(θ90\theta'\leq 90^{\circ} なら θ=θ\theta=\theta'θ>90\theta' > 90^{\circ} なら θ=180θ\theta=180^{\circ}-\theta' であることに注意)。

ここで,ベクトルの内積を二通りで表すと,

3(23)+(1)(1)=(3+1(23)2+1)cosθ\sqrt{3}\cdot (2-\sqrt{3})+(-1)(-1)\\ =\left(\sqrt{3+1}\sqrt{(2-\sqrt{3})^2+1}\right)\cos\theta'

となるので,

cosθ=233+13+11+(23)2=23222423\cos\theta'=\dfrac{2\sqrt{3}-3+1}{\sqrt{3+1}\sqrt{1+(2-\sqrt{3})^2}}\\ =\dfrac{2\sqrt{3}-2}{2\sqrt{2}\sqrt{4-2\sqrt{3}}}

ここで,分母の二重根号は外せる(注)(423=31\sqrt{4-2\sqrt{3}}=\sqrt{3}-1 )ので,

cosθ=12\cos\theta'=\dfrac{1}{\sqrt{2}}

となる。よって法線ベクトルのなす角が 4545^{\circ} であるので,二直線のなす角も 4545^{\circ}

注:→二重根号の外し方のパターンと外せないものの判定

二つの方法の比較

方法1(tanの加法定理)

メリット:計算が楽!

デメリット:直線の傾きが存在しない場合は別に考える必要がある

方法2(内積,cos)

メリット:場合分け不要

デメリット:計算がしんどくなることが多い(さきほどの例題でも二重根号が登場)

計算量の恩恵が大きいので基本的に方法1を使うことをオススメします。

傾きが明らかに存在する&二直線が明らかに直交しない状況では場合分けはそもそも不要ですし,場合分けが必要な場合も簡単に処理できます。一方,やや複雑な問題では cos\cos の方は計算がヤバいことになります。

美しい関係

最後に二つの公式の間に,1+tan2θ=1cos2θ1+\tan^2\theta=\dfrac{1}{\cos^2\theta} という基本的な関係式が成立していることを確認しておきます。

確認

公式1によると,

1+tan2θ=1+(a1b2a2b1)2(a1b1+a2b2)2=(a1b1+a2b2)2+(a1b2a2b1)2(a1b1+a2b2)21+\tan^2\theta=1+\dfrac{(a_1b_2-a_2b_1)^2}{(a_1b_1+a_2b_2)^2}\\ =\dfrac{(a_1b_1+a_2b_2)^2+(a_1b_2-a_2b_1)^2}{(a_1b_1+a_2b_2)^2}

ここでブラーマグプタ・フィボナッチ恒等式を発動(知らなくてもただ計算すればよいだけ)すると,

上式は (a12+a22)(b12+b22)(a1b1+a2b2)2\dfrac{(a_1^2+a_2^2)(b_1^2+b_2^2)}{(a_1b_1+a_2b_2)^2} と計算できる。

これは公式2による cosθ\cos\theta の逆数の二乗に等しい!

tanの方が計算が楽になることを実感していただけたかと思います。

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