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  2. 射影平面の3通りの定義

射影平面の3通りの定義

更新日時 2021/03/07

射影平面とは

1.いつもの平面に無限遠点を加えたもの

2.半球を貼りあわせたもの

3.三次元空間中の原点を通る直線の集合

実射影平面という不思議な空間の3通りの見方を解説し,射影平面への理解を深めます。3つとも姿は違えど本質的には同じものなので,状況に合わせて都合のよいもの,分かりやすいものを使えばOKです。

目次
  • 1.平面+無限遠点という見方

  • 2.半球を貼り合わせたものという見方

  • 3.原点を通る直線という見方

  • 3つとも同じということ

  • 直線は必ず交わる

1.平面+無限遠点という見方

射影平面と無限遠点

・射影平面とは

通常の平面に(無数の)無限遠点を加えたものが射影平面です。一つの方向に一つの無限遠点を対応させます。「例えば南北方向の無限遠点」「東西方向の無限遠点」などです。

・射影平面上の直線とは

通常の直線に「その方向に対応する無限遠点」を加えたものを射影平面上の直線とみなします。無限遠点全体の集合も直線とみなします。

なお,見方1は通常の平面に近いのでイメージしやすいですが,厳密な議論は難しいです。

2.半球を貼り合わせたものという見方

射影平面と半球

・射影平面とは

図は半球を真上から見たものです。端の点(赤道部分)を裏側の点と同一視したものが射影平面です。

・射影平面上の直線とは

もとの半球面上の大円(の一部)が通る点の集合が射影平面の直線です。

3.原点を通る直線という見方

・射影平面とは

三次元空間において,原点を通る直線の集合を射影平面とみなします。射影平面の点(要素)がもとの空間の直線に対応することに注意して下さい。

・射影平面上の直線とは

もとの三次元空間において原点を通る平面を一つ取ってきます。この平面内の直線で原点を通るものは無数にありますが,それらに対応する射影平面の点の集合を射影平面における直線とみなします。

見方3は直感的にイメージしにくいですが,厳密な議論に向いています。3の考え方を使えば,より高次元の射影空間も簡単に定義できます。

3つとも同じということ

射影平面の3通りの姿を紹介しましたが,実はどれも「同じ」ということを大雑把に説明します。

以下の説明内の〜という記号は「対応している」という意味です。

(1と3の点の対応)

三次元座標空間において z=1z=1 という平面 HH を考えると,

3における射影平面の点

〜三次元空間の原点を通る直線 ll

HH 上の点または無限遠点(llHH が交わるときにはその交点,交わらないときにはその方向に対応する無限遠点を取ってくる)

〜1における射影平面の点

(2と3の点の対応)

三次元空間で原点を通る半球 BB (赤道部分はちょうど半分含むようなもの)を考えると,

3における射影平面の点

〜三次元空間の原点を通る直線 ll

BB 上の点(llBB の交点を取ってくる)

〜1における射影平面の点

なお,直線の対応も簡単に分かります。

直線は必ず交わる

通常の平面では平行な直線は交わりませんが, 射影平面上の異なる二直線は必ず一点で交わります。

世界1での説明

平行でない直線が一点で交わるのは通常の平面と同じ。平行な二直線はその方向に対応する無限遠点で交わる。

世界2での説明

射影平面上の異なる二直線は,異なる二つの大円に対応する。異なる二つの大円は球面上で交点を必ず二つ持つ。半球面に制限すれば交点は一つ。

世界3での説明

射影平面上の異なる二直線は,三次元空間中の異なる原点を通る二つの平面に対応する。この二つの平面には交線(原点を通る)がただ一つ存在する,この交線は射影平面上の一点に対応する。

直感的な理解のしやすさと厳密さのどちらを優先すべきかは状況によります。

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