L1距離(マンハッタン距離)の意味と性質
座標平面上の2点 の間の距離を で測ったものを 距離(マンハッタン距離)と言う。
マンハッタン距離とユークリッド距離
マンハッタン距離とユークリッド距離
2点間の遠さを定量的に表現するのが距離です。我々が普段よく使うのは以下の 距離(ユークリッド距離)です:
しかし,場合によっては 距離を用いたほうがよい場合があります。例えば,座標軸に平行にしか移動できない場合, 距離で測るのが適切です。
実際,碁盤の目状の都市(アメリカのマンハッタン,日本だと平城京など)の2点間の最短距離は 距離で表現できます(マンハッタン距離と呼ばれる理由!)。
と の距離は,
- ユークリッド距離だと
- マンハッタン距離だと
(平城京で二条三坊から五条七坊に移動するには最低7ブロックの移動が必要)
当然ですが,ユークリッド距離よりもマンハッタン距離の方が長くなっています。
距離の性質など
距離の性質など
距離は一般の「距離」が満たすべき以下の性質(距離の公理)を満たしています:
-
また,
-
-
(三角不等式)
(証明は練習問題にどうぞ)
また,原点から 距離が であるような点の集合(単位球)は図のような正方形になります。
三次元以上の空間においても, 距離を同様に定義できます:
東大の入試問題
東大の入試問題
距離に関する東大の問題を紹介します。
1994年東大理系第6問の(1)です(文言は少し変えています)。
は と の 距離とする。原点 と に対し, を満たす点 の範囲を 平面上に図示せよ。
を満たす点の集合を図示せよ,という問題。愚直にやると,絶対値を外すために場合分けが 通り必要だが,対称性を考えると以下の四通りだけ調べればよいことが分かる。
-
の場合,
を満たす点は存在しない。 -
の場合, となり不適。
-
の場合,
は常に成立。 -
の場合,
以上より,答えは図の青い領域(境界含む)。
「垂直二等分線」が二次元の広がりを持つというのは驚きですね。
急いでいるときに「直線で進んだら 倍に時短できるのに!」と思うことありますよね。