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楕円の周の長さの求め方と近似公式

更新日時 2021/03/07

楕円の周長:長軸の長さが 2a2a ,短軸の長さが 2b2b である楕円: x2a2+y2b2=1\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1 の周の長さは, L=2πa(t=0ct2ϵ2t12t)L=2\pi a\left(\displaystyle\sum_{t=0}^{\infty} c_t^2\dfrac{\epsilon^{2t}}{1-2t}\right)

ただし,ϵ\epsilon は離心率で,ϵ2=1b2a2\epsilon^2=1-\dfrac{b^2}{a^2} を満たし,

c0=1c_0=1ct=(2t1)!!(2t)!!=(2t1)(2t3)12t(2t2)2(t1)c_t=\dfrac{(2t-1)!!}{(2t)!!}=\dfrac{(2t-1)(2t-3)\cdots 1}{2t(2t-2)\cdots 2}\:(t\geq 1)

楕円の周の長さは高校数学+アルファで求めることができます。最後に楕円の周の長さを求める近似式も紹介。

目次
  • 楕円の周の長さ

  • 楕円の周の長さの導出

  • 楕円周の長さの近似

楕円の周の長さ

・楕円の面積については「楕円は円を拡大,縮小したもの」と見ることで簡単に求めることができました。→楕円の面積公式の3通りの導出

一方,(円周の長さは簡単に求まるのに) 楕円の周の長さを求める公式は非常に複雑です。

・冒頭の公式は,aabb が分かれば ϵ\epsilon が分かり LL も(無限級数ですが)計算できるという流れです。

・上の公式は複雑でよく分からないので t=2t=2 くらいまで書き下してみます:

L=2πa{1(12)2ϵ21(1324)2ϵ43}L=2\pi a\left\{1-\left(\dfrac{1}{2}\right)^2\dfrac{\epsilon^2}{1}-\left(\dfrac{1\cdot 3}{2\cdot 4}\right)^2\dfrac{\epsilon^4}{3}\cdots\right\}

a=ba=b のときは ϵ=0\epsilon=0L=2πaL=2\pi a となり円周の長さの公式と一致します。

楕円の周の長さの導出

冒頭の公式を三段階に分けて証明します。三つの道具を知っていれば簡単です!

1.周長をとりあえず積分で書き下す。

使う道具:弧長積分の公式

まず,楕円を x=acosθx=a\cos\thetay=bsinθy=b\sin\theta と媒介変数表示する。

弧長の公式より

L=40π2(asinθ)2+(bcosθ)2dθ=4a0π2sin2θ+b2a2cos2θdθ=4a0π21ϵ2cos2θdθL=4\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{(-a\sin\theta)^2+(b\cos\theta)^2}d\theta\\ =4a\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{\sin^2\theta+\frac{b^2}{a^2}\cos^2\theta}d\theta\\ =4a\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{1-\epsilon^2\cos^2\theta}d\theta

これは(第二種)楕円積分と呼ばれるもので一発で計算することはできません。

2.ルートを級数展開する。

使う道具:一般化二項定理とルートなどの近似

一般化二項定理を用いて被積分関数を展開する:

1ϵ2cos2θ=t=0(1)t12Ctϵ2tcos2tθ\sqrt{1-\epsilon^2\cos^2\theta}=\displaystyle\sum_{t=0}^{\infty}(-1)^t{}_{\frac{1}{2}}\mathrm{C}_t\epsilon^{2t}\cos^{2t}\theta

ただし,

12Ct=12(121)(12t+1)t!=(1)(3)(2t+3)2tt!=(1)t1(2t3)!!(2t)!!=(1)t12t1ct{}_{\frac{1}{2}}\mathrm{C}_t=\dfrac{\frac{1}{2}(\frac{1}{2}-1)\cdots(\frac{1}{2}-t+1)}{t!}\\ =\dfrac{(-1)(-3)\cdots (-2t+3)}{2^tt!}\\ =(-1)^{t-1}\dfrac{(2t-3)!!}{(2t)!!}\\ =\dfrac{(-1)^{t-1}}{2t-1}c_t

以上より,L=4a0π2t=0(1)2t1ctϵ2tcos2tθdθL=4a\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{2}}\sum_{t=0}^{\infty}\dfrac{(-1)}{2t-1}c_t\epsilon^{2t}\cos^{2t}\theta d\theta

ここで,積分とシグマを交換する(厳密には一様収束→項別積分可能を使う):

L=4at=0ctϵ2t2t10π2cos2tθdθL=-4a\displaystyle\sum_{t=0}^{\infty}\dfrac{c_t\epsilon^{2t}}{2t-1}\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\cos^{2t}\theta d\theta

3. cos2t\cos^{2t} を積分する。

使う道具:sinのn乗,cosのn乗の積分公式

cos\cosnn 乗の積分公式より

0π2cos2tθdθ=π2ct\displaystyle\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\cos^{2t}\theta d\theta=\dfrac{\pi}{2}c_t となる。

よって,L=2πat=0ct2ϵ2t12tL=2\pi a\displaystyle\sum_{t=0}^{\infty}c_t^2\dfrac{\epsilon^{2t}}{1-2t}

楕円周の長さの近似

冒頭の公式を適当な項で打ち切れば楕円の周の長さを近似することができます。例えば最初の項のみで近似すると 2πa2\pi a となります。

しかし,上記の無限級数は収束が遅いです。そこで,以下のような別の近似公式を使うと精度よく近似することができます。

・楕円が円に近い場合:Gauss-Kummerの公式

L=π(a+b){1+(12)2h2+(124)2h4+(13246)2h6+}L=\pi (a+b)\left\{1+(\frac{1}{2})^2h^2+(\frac{1}{2\cdot 4})^2h^4+(\frac{1\cdot 3}{2\cdot 4\cdot 6})^2h^6+\cdots\right\}

ただし,h=aba+bh=\dfrac{a-b}{a+b}

最初の項のみで近似すると π(a+b)\pi(a+b)

・楕円がつぶれている場合:Cayleyの公式

log\log とかが入ってきて複雑なので略。

最初の項のみで近似すると 4a4a

注:近似公式についてはTHE PERIMETER OF AN ELLIPSE(英語のPDF)を参考にしました。

!!という記号は威圧感抜群ですね。

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