日本数学オリンピック本選の傾向と対策

日本数学オリンピック(以下JMOと呼ぶ)本選の傾向と対策をまとめました。難易度や対策方法については公式のものではなく私の主観的な意見です。

予選については日本数学オリンピック予選対策を参照して下さい。

※この記事は,2014年に執筆したものです。情報が古い・不正確な可能性があるため,あくまで参考程度にご覧いただければと思います。

JMO本選について

  • 形式:JMO予選と異なり,全問題記述式。部分点あり。
  • ボリューム:試験時間は4時間,問題は5問。国際数学オリンピック(IMO)は4時間半で3問なので,JMOの方がかなり時間的に厳しいです。
  • 難易度:もちろん5問とも難しいですが,おおよそ難易度順に並んでいます。特に,多くの年で第1問が簡単で第5問が難しいのは顕著です。
  • ボーダー:合格者(春合宿に進める人)は約20名。(私と友人数人の経験,読者の方からの情報に基づくと)本選突破のボーダーは2完〜3完程度だと思われます。第1問を確実に解いて,第2〜4問の中でどれか二つきちんと解けば春合宿に行ける可能性が高いということです。

ちなみに私は高校時代,(自称)1完半で落ちました(T_T)

当サイトの読者の方でJMO受験する人はぜひとも頑張って欲しいです!

JMO本選傾向と対策

以下ではA:代数,A(I):不等式,A(F):関数方程式,C:組み合わせ,G:幾何,N:整数問題,と表記します。全ての問題が綺麗に分類できるわけではありません(例えばNとCの融合問題などもある)が,多くの問題はA,C,G,Nのいずれかに属します。→数学オリンピックの出題範囲

  • 5問のうちほぼ確実にA,C,G,Nが1問ずつは出題され,その中でどれか一つの分野のみ2問出題されます。最近はCやNが2問出題される年が多いです。これはIMOでも言えます。
  • 最近はA(I)が減ってきてA(F)が増えています。不等式は対策しやすく,関数方程式は対策しにくいためだと思われます。
  • 4つの分野の中でも特にGを対策するのがおすすめです(もちろん4分野とも対策するべきですが)。Gは予選の単答問題と本選の証明問題で必要となる力が大きく異なり,近年の出題頻度も高いので本選に特化した対策をするべきなのです。
  • JMO本選の過去問はもちろん,IMO,APMO,IMO Shortlistの問題もJMO本選と同じタイプ,出題範囲なので対策に有効です。特にIMOの問題は長時間吟味されただけあって良問の宝庫です。

JMO本選の出題分野一覧

21世紀のJMO本選の出題分野を整理しました。中には複数の分野のどちらに分類にすべきか迷う問題もありましたが,とりあえず全ての問題をA,G,C,Nのいずれかとみなしました。

※合格最低点は読者の方からの情報に基づいており、不正確な可能性があります。

問1 問2 問3 問4 問5 合格最低点
2021 A(F) C G N C
2020 N G A(F) C N
2019 N C A(F) G C
2018 N G A(F) C N
2017 N N G C N
2016 N G C A(F) C
2015 N C N G N
2014 G N C G A(I) 24点
2013 C A(F) N G C 18点
2012 G A(F) N G C 23点
2011 G N C A(F) G
2010 G N C A(I) C
2009 N C N G A(F) 17点
2008 A C G A(F) N
2007 C A(F) G C A 10点
2006 G N A(F) C A(I)
2005 C N A(I) G C
2004 N A(F) G A(I) C
2003 G N A(I) A C
2002 G C C A(I) C
2001 C N A(I) N G

数オリは才能・ひらめきだけの勝負ではありません。知識・経験も重要です。