線型代数の有名事実~部分空間と次元の関係について
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有限次元ベクトル空間 の部分空間 について,次が成り立つ。
- であれば になる。
この記事では,ベクトル空間の次元に関する重要定理を紹介します。
準備補題
準備補題
証明の準備のために補題を証明しましょう。
一次独立なベクトルが存在するとき,それらは基底の一部にできます。
有限次元ベクトル空間 は を満たすものとする。 とし, は の一次独立な元であるとする。
このとき, が基底となるように を取ることができる。
とおく。
より である。よって, を取ることができる。
このとき, は一次独立であるため, とすると,, である。
帰納的に繰り返すことで の一次独立な元 を得る。 であるため,これらは基底を成す。
こうして題意が示された。
定理の証明
定理の証明
前半の主張
証明のポイントは基底を取ることにあります。特に有限次元であるため,有限個の元を基底として取れることに注意しましょう。
の基底 を取る。このとき,基底の取り方によらず で一定となる。
は の元としても一次独立である。
よって, を含むように の基底 を取ることができる。
このとき である。次元の定義より が従う。
後半の主張
より,前半の証明での と は一致する。
つまり, は の基底となる。よって である。
しばしば登場する重要定理ですから覚えておきましょう。