証明
fn(x)=sin(fn−1(x))
帰納的に fn(0)=0 であることを示す。
- n=1 のとき fn(0)=sin0=0 であるため,命題は成立する。
- n=k のとき成立すると仮定する。このとき
fk+1(0)=sin(fk(0))=sin0=0
より,仮定の元で n=k+1 の場合も成立する。
以上より fn(0)=0 である.よって a=0 は題の方程式を満たす。
同様に帰納法で fn(x) は奇関数である。Lx もまた奇関数であるため,x>0 における解 a があれば −a も解で,逆も成立する。ゆえに x>0 の場合を考えればよい。⋯(∗)
x>0 で x>sinx である。よって
fn(x)=sin(fn−1(x))<fn−1(x)
より,帰納的に fn(x)<x (x>0) が成立する。
さて,L≦1 より L1≧1 である。ゆえに x>0 で
x<Lx
である。
以上より x>0 で
fn(x)<x<Lx
であるため,
fn(a)−La=0
を満たす正の実数は存在しない。(∗) より方程式を満たす負の実数もまた存在しない。
こうして a=0 のみが方程式を満たし,恒等的に AL,n=1 となる。
ゆえに n→∞limAL,n=1 である。
証明
前問同様 a=0 は解になる。前問同様 x>0 の場合を考えれば十分である。また gn(x)=fn(x)−Lx とおく。
- 0<x<π に gn(x)=0 の解が存在すること
増減を調べるため fn の微分を計算する。
fn′(x)=cos(fn−1(x))⋅fn−1′(x)
である。※ f0(x)=x として考える。
n≧2 の場合,fn−1(x)=sin(fn−2(x)) より
−2π<−1≦fn−1(x)≦1<2π
より cos(fn−1(x))>0 である。
前問で示した通り,任意の n≧1 に対して fn(0)=0 であった。同様に fn(π)=0 を示すことができるため,特に
cos(fn(0))=cos(fn(π))=1
である。
以上を用いると帰納的に
xfn′01⋯+2π0⋯−π−1
と計算される。
次に2階微分を計算する。
fn′′(x)=cos(fn−1(x))⋅fn−1′′(x)−sin(fn−1(x))⋅{fn−1′(x)}2
0<x<π で 0<fn−1(x)≦1 であることが帰納的に示されるため,2項目は負である。
これより数学的帰納法によって 0<x<π で fn′′(x)≦0 が従う。
さて,fn′(0)=1,fn′(π)=−1であるため,中間値の定理より 0<cn<π であって fn′(c)=L1 を満たすものが存在する。0<x<π で fn′′(x)<0 より,fn′ は 0 から π の間で単調増加であるため,こうした cn は一意に存在する。
gn(0)gn(π)=0=0−Lπ<0
であり,前の計算から
xgn′gn0+0⋯+↗cn0⋯−↘π−−
が成り立つ。
よって 0<x<π の範囲で gn(x)=0 を満たす実数が1つ存在する。同様の議論から −π<x<0 の範囲で gn(x)=0 を満たす実数が1つ存在する。
こうして AL,n≧3 を得る。
- 十分大きい n で AL,n=3 であること
さて,fn(x) は x=2π+2nπ (n∈Z) で極大になる。fn は周期関数であるため fn の最大値は fn(2π) となる。
さて,an=fn(2π) とおく。帰納的に an=0 が示される。ここで x>0 で sinx<x であるため,
0<an+1=sinan<an
が成り立つ。
問題文中の事実より数列 {an} は収束する。その収束値を α とすると sinα=α が成立する。∣fn(x)∣≦∣sinx∣≦1 であることから ∣α∣≦1 である。この範囲で sinα=α を満たす実数は α=0 だけである。
こうして {an} は 0 に収束することが分かった。ゆえに n を十分大きくとると an<2Lπ とできる。
このような n について x>π では
Lx>2Lπ≧fn(x)
である。このとき,AL,n=3 である。
こうして
n→∞limAL,n=3
である。