微分方程式の例題(東大院2021から)

東大数学科院試 2021から抜粋

初期値が x(1)=ax(1) = adxdt(1)=b\dfrac{dx}{dt} (1) = b となる微分方程式 d2xdt22t2x=2t \dfrac{d^2 x}{dt^2} - \dfrac{2}{t^2} x = \dfrac{2}{t} の解 x(t)x(t) を求めよ。

ただし tt は正の実数とする。

東大の院試で出題された微分方程式の問題を解説します。

アイデア

定数係数線形微分方程式ではないため少し大変です。

しかし,定数係数線形微分方程式の解き方がヒントになります。

非斉次線形微分方程式の解き方として

  1. (左辺)=0(\text{左辺})= 0 とした微分方程式を解く
  2. 元の微分方程式の特殊解を求める
  3. 1で解いた微分方程式の一般解+特殊解が求める微分方程式の解になる

というものがありました。

→ 微分方程式の解法(同次形・線形微分方程式)

解答

ステップ1:もうちょっと簡単な微分方程式を解く

微分方程式 d2xdt22t2x=0 () \dfrac{d^2 x}{dt^2} - \dfrac{2}{t^2} x = 0 \quad \cdots \ (\ast) を解く。

x=tλx = t^{\lambda} が解であるような λ\lambda を,式に計算する。

()(\ast) に代入すると λ(λ1)tλ22tλ2=0 \lambda (\lambda - 1) t^{\lambda-2} - 2 t^{\lambda - 2} = 0 である。左辺は (λ2λ2)tλ2 (\lambda^2 - \lambda - 2) t^{\lambda - 2} となるため,λ=2,1\lambda = 2,-1 のとき x=tλx = t^{\lambda}()(\ast) の解となる。

()(\ast) は2階の微分方程式であることから,解空間は二次元であることがわかり,それゆえ t2,t1t^2 , t^{-1}()(\ast) の解空間の基底になる。

こうして ()(\ast) の解は x(t)=C1t1+C2t2 x(t) = C_1 t^{-1} + C_2 t^2 と表される。

元の微分方程式の解は,ステップ1で求めた解+特殊解で書かれます。

それでは特殊解を探しましょう。

ステップ2:特殊解を探す

x=tx = -t を代入すると (左辺)=(t)2t2(t)=2t=(右辺)\begin{aligned} (\text{左辺}) &= (-t)'' - \dfrac{2}{t^2} (-t)\\ &= \dfrac{2}{t}\\ &= (\text{右辺}) \end{aligned} となります。

よって x(t)=tx (t) = -t は特殊解である。

最後の結論となります。

ステップ3:結論

上記の議論から解は x(t)=C1t1+C2t2t x(t) = C_1 t^{-1} + C_2 t^2 - t と表される。

x(t)=C1t2+2C2t1 x'(t) = - C_1 t^{-2} + 2C_2 t - 1 である。

x(1)=ax(1) = ax(1)=bx'(1) = b を代入すると,連立方程式 {C1+C21=aC1+2C21=b\begin{cases} C_1 + C_2 - 1 = a\\ -C_1 + 2C_2 - 1 = b \end{cases} を得る。

これを解くと C1=2ab+13C_1 = \dfrac{2a-b+1}{3}C2=a+b+23C_2 = \dfrac{a+b+2}{3} を得る。

こうして解は x(t)=2ab+13t1+a+b+23t2t x(t) = - \dfrac{2a-b+1}{3} t^{-1} + \dfrac{a+b+2}{3} t^2 - t となる。

実はこの問題には続きがあります。興味がある方は調べてみてください。