ステップ1:変数の置換
xp=t と置換すると pxp−1dx=dt,dx=ptp1−pdt となる。
∫0∞xsin(xp)dx=∫0∞t2p1sintptp1−pdt=p1∫0∞sint⋅t2p1−1dt
ここで
Γ(2p1)=∫0∞t2p1−1e−tdt
であることを踏まえると,ステップ1の最後の sint を e−t にできればよさそうです。
これには オイラーの等式 eit=cost+isint を用いましょう。
ステップ2:複素関数の世界へ
ステップ1の計算より求める積分は
pΓ(2p1)1∫0∞t2p1−1eitdt
の虚部である。
上式は t=is とおきなおすことで
pΓ(2p1)1∫0i∞i2p1s2p1−1e−sds
となる。
i2p1=(cos2π+isin2π)2p1=cos4pπ+isin4pπ
であることに注目すると,上式の虚部は
Γ(2p1)1∫0∞xsin(xp)dx=pΓ(2p1)1sin4pπ∫0i∞s2p1−1e−sds
である。
あとは,
∫0i∞s2p1−1e−sds
を計算すればよい。
さてこの積分はどのように計算したらよいでしょうか?
Γ(2p1) なのだろうと予想はつきますね。
被積分関数は正則関数です。そのため
コーシーの積分定理
から,閉曲線上の複素積分は 0 になります。
留数定理を用いた積分と類似のアイデアで計算をします。
ステップ3:コーシーの積分定理の利用
積分路を次のようにとる。
このとき求めたい積分は
−R→∞lim∫C3z2p1−1e−zdz
である。
C=C1+C2+C3 とおく。
C の内部で z2p1−1e−z は正則であるため,コーシーの積分定理から
∮Cz2p1−1e−zdz=0
である。
ゆえに
−∫C3z2p1−1e−zdz=∫C1z2p1−1e−zdz+∫C2z2p1−1e−zdz
を得る。
-
C1 での積分
R→∞lim∫C1z2p1−1e−zdz=∫0∞z2p1−1e−zdz=Γ(2p1)
-
C2 での積分
∣∣∫C2z2p1−1e−zdz∣∣≦∫C2∣∣z2p1−1e−z∣∣dz
z=Reiθ とおくと,
∫C2∣∣z2p1−1e−z∣∣dz=∫02π∣∣R2p1−1e(2p1−1)iθe−Rcosθ−iRsinθ∣∣dθ=∫02πR2p1−1e−Rcosθdθ=2πR2p1−1e−Rcosθ
となる。p>21 より 0<2p1−1<1 であるため
R→∞limR2p1−1=0R→∞lime−Rcosθ=0
となる。よって
R→∞lim∫C2z2p1−1e−zdz=0
である。
以上より
∫0i∞s2p1−1e−sdt=R→∞lim(∫C1z2p1−1e−zdz+∫C2z2p1−1e−zdz)=Γ(2p1)+0
となる。
こうして
Γ(2p1)1∫0∞xsin(xp)dx=pΓ(2p1)1sin4pπ∫0i∞s2p1−1e−sds=pΓ(2p1)1sin4pπΓ(2p1)=p1sin4pπ
となる。
ガンマ関数の登場がいい具合のヒントになっていますね。