どの収束定理を使うか考えてみてください。
発展問題
- fn=xk=1∑ne−kx とおく。次の積分を計算しなさい。
n→∞lim∫0∞fn(x)dx∫0∞ex−1xdx
- 次の積分を計算しなさい。
n→∞lim∫0∞(1+nx)−nx−n1dx
発展問題1
前半
そのまま計算する。In=∫0∞fn(x)dx とおく。
In=∫0∞xk=1∑ne−kxdx=k=1∑n∫0∞xe−kxdx=k=1∑n[−kxe−kx−k2e−kx]0∞=k=1∑nk21
よって
n→∞lim∫0∞fn(x)dx=n→∞limIn=k=1∑∞k21=6π2
となる。
後半の積分は,前半の積分の積分と極限を入れ替えればよさそうですね。
後半
fn(x)=xk=1∑ne−kx=1−e−xxe−x(1−e−nx)=ex−1x(1−e−nx)
0≦1−e−nx≦1 より ∣fn∣≦∣∣ex−1x∣∣ である。
ゆえに n→∞limfn(x)=ex−1x となる。
e−nx は 0≦x で正であるため,項別積分の公式を用いると
∫0∞ex−1xdx=∫0∞xn=1∑∞e−nxdx=n=1∑∞∫0∞xe−nxdx=6π2
となる。
発展問題2
結論から言うと,積分と極限が交換できます。(それは例題なのでまぁ……ですが)
実際に交換してみると
n→∞lim∫0∞(1+nx)−nx−n1dx=∫0∞n→∞lim(1+nx)−nx−n1dx=∫0∞e−x=[−e−x]0∞=e1
となります。
では,交換できることを証明します。ルベーグの収束定理を使うために頑張って優関数を見つけます。
証明
n≧2 に対して計算しても良い。
fn(x)=(1+nx)−nx−n1 とおく。各 n について fn≧0 である。
被積分関数 (1+nx)−nx−n1 が n について単調減少であることを示す。
fn+1(x)fn(x)=(1+nx)x−n(n+1)1
これが 1 より大きいことを示せばよい。特に
1+nx>xn(n+1)1
を示せばよい。
F(x)=1+nx−xn(n+1)1 とする。
F′(x)=n1−n(n+1)1x−1+n(n+1)1
である。F′(x)=0 を解くと x=(n+1)−n2+n−1n+n2 となる。F(x) はここで最小値を取る。
F((n+1)−n2+n−1n+n2)=1+n1(n+1)−n2+n−1n+n2−(n+1)−n2+n−11
ここで (n+1)−n2+n−11=(n+11)n2+n−11<1 より F((n+1)−n2+n−1n+n2)>0 である。
以上より F(x)>0 であり,fn は n について単調減少であることがわかる。こうして ∣fn(x)∣≦∣f2(x)∣ を得る。(優関数として f2 が取れた。)
さらに
∫0∞f2(x)dx=∫0∞(1+2x)−2x−21dx≦∫02π(1+tan2θ)12tanθ1cos2θ4tanθdθ≦∫02π22cos2θdθ=2π<∞
より f2 は可積分である。
以上よりルベーグの収束定理から
n→∞lim∫0∞(1+nx)−nx−n1dx=∫0∞n→∞lim(1+nx)−nx−n1dx=∫0∞e−x=[−e−x]0∞=e1
と計算される。