2曲線が接する3通りの条件

「接する2つの曲線」に関する問題について,3通りの解き方を紹介します。 接する2つの曲線

2曲線が接するとは

2曲線が接するとは(一般の場合)

y=f(x)y=f(x)y=g(x)y=g(x)x=ax=a で接する
    \iff f(a)=g(a)f(a)=g(a) かつ f(a)=g(a)f'(a)=g'(a)

つまり,2曲線が接するとは,その点において関数の値と微分係数が等しいことを表します。

例題

f(x)=x2f(x)=x^2g(x)=x2+4xcg(x)=-x^2+4x-c が接するとき,cc の値を求めよ。また,接点における接線の方程式を求めよ。 接する2つの曲線

解答

x=ax=a で2曲線が接するとき,

  • f(a)=g(a)f(a)=g(a) より
    a2=a2+4aca^2=-a^2+4a-c
  • f(a)=g(a)f'(a)=g'(a) より
    2a=2a+42a=-2a+4

よって,2つめの式から a=1a=1

さらに1つめの式に代入して

1=1+4c1=-1+4-c より c=2c=2

また,f(1)=2f'(1)=2 より,f(x)=x2f(x)=x^2x=1x=1 における接線の方程式は,

y=2x1y=2x-1

重解による条件

2曲線がいずれも多項式で表せる場合,接する条件は重解を持つと言い換えることができます。

2曲線が接する条件(多項式の場合)

f(x)f(x)g(x)g(x) が多項式のとき, y=f(x)y=f(x)y=g(x)y=g(x)x=ax=a で接する
    \iff f(a)=g(a)f(a)=g(a) かつ f(a)=g(a)f'(a)=g'(a)
    \iff f(x)g(x)f(x)-g(x)x=ax=a を重解に持つ

赤の条件紫の条件が同値であることは,因数定理からわかります。→因数定理の意味と因数分解への応用・重解バージョンの証明

重解の条件を使うとさきほどの例題が少し楽に解けます。

例題の別解

f(x)g(x)f(x)-g(x) が重解を持つので,実数 a,ta,t を用いて

x2(x2+4xc)=t(xa)2x^2-(-x^2+4x-c)=t(x-a)^2

とおける。2乗の係数を比較して t=2t=2 となる。両辺整理すると

2x24x+c=2x24ax+2a22x^2-4x+c=2x^2-4ax+2a^2

係数比較して a=1,c=2a=1,c=2

接線の方程式はさきほどと同様に求まる。

判別式による条件

さらに,二次関数の場合は重解を持つ判別式=0と言い換えできます。

例題の別解

f(x)g(x)=2x24x+cf(x)-g(x)=2x^2-4x+c の判別式が 00 なので,

D4=(2)22c=0\dfrac{D}{4}=(-2)^2-2c=0

つまり c=2c=2

※結局接点の座標 aa を求めるために別途計算しないといけないです。cc を求めるだけならこの解法が早いです。

「曲線が接する」の補足

  • その点での値と微分係数が同じとき,2つの曲線は接すると言うのでした。

  • 接する2つの曲線において,特に片方が直線のとき,もう片方の接線と言います。

  • 例えば,y=x3y=x^3 に対して y=0y=0 は接線です。貫通しているので「接しているのか?」という気持ちになりますが「その点での値と微分係数は同じ」なので接すると言えます。 接するの補足

練習問題

問題1

y=x3y=x^3y=cx2+cxy=cx^2+cx が接するとき cc の値を求めよ。

解答

多項式なので重解の条件を使ってみる。

x=ax=a で接するとき,

x3(cx2+cx)=x(xa)2x^3-(cx^2+cx)=x(x-a)^2

とおける(x=ax=a で重解かつ x=0x=0 は明らかに共有点なので)。

展開して係数を比較すると,

c=2a-c=-2a
c=a2-c=a^2

これを解くと (a,c)=(0,0),(2,4)(a,c)=(0,0),(-2,-4)

よって c=4,0c=-4,0

別解

f(a)=g(a)f(a)=g(a) かつ f(a)=g(a)f'(a)=g'(a) という条件を使って解いてみる。

a3=ca2+caa^3=ca^2+ca
3a2=2ca+c3a^2=2ca+c

  • a=0a=0 のとき,c=0c=0
  • a0a\neq 0 のとき1つめの式より a2=ca+ca^2=ca+c
    a=1a=-1 は不適より c=a2a+1c=\dfrac{a^2}{a+1}
    これを2つめの式に代入すると
    3a2=a2(2a+1)a+13a^2=\dfrac{a^2(2a+1)}{a+1}
    3a3+3a2=2a3+a23a^3+3a^2=2a^3+a^2
    a3+2a2=0a^3+2a^2=0
    a=2a=-2
    このとき c=4c=-4
問題2

y=logxy=\log xy=x2+cy=x^2+c が接するとき cc の値を求めよ。

数学IIIの範囲です。対数関数 y=logxy=\log x が登場しています。

解答

多項式でないので,f(a)=g(a)f(a)=g(a) かつ f(a)=g(a)f'(a)=g'(a) という条件を使う。

x=ax=a で接するとき,

  • f(a)=g(a)f(a)=g(a) より
    loga=a2+c\log a=a^2+c
  • f(a)=g(a)f'(a)=g'(a) より
    1a=2a\dfrac{1}{a}=2a

2つめの式より 2a2=12a^2=1,対数関数の定義域から a>0a>0 より a=12a=\dfrac{1}{\sqrt{2}}

これを1つめの式に代入すると

log12=12+c\log\dfrac{1}{\sqrt{2}}=\dfrac{1}{2}+c

c=1212log2c=-\dfrac{1}{2}-\dfrac{1}{2}\log 2

→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT77も参照してください。

大学入試では「曲線と直線が接する問題」が多いですが「両方とも直線でない曲線」が接する問題もおもしろいです。