解
R>0 を,Δ(0,R) が Δ(±1,δ) を含むように大きくとる。
- CR={z∣∣z∣=R,Im(z)≧0}
- LR,δ:実軸上の区間 [−R,−1−δ],[−1+δ,1−δ],[1+δ,R] の和
- Lε,δ:実軸上の区間 [−1−δ,−1−ε],[−1+ε,−1+δ],[1−δ,1−ε],[1+ε,1+δ] の和
- cε(1)={z∣∣z−1∣=ε,Im(z)≦0}
- cε(−1)={z∣∣z+1∣=ε,Im(z)≦0}
これらの和を C とおく。このとき向きは反時計回りにとる。
C は ±1,i を含むため,留数定理から
∮Cz4−1dz=2πi(Res(z4−11,1)+Res(z4−11,−1)+Res(z4−11,i))=2πi((z+1)(z2+1)1∣∣z=1+(z−1)(z2+1)1∣∣z=−1+(z+i)(z2−1)1∣∣z=i)=2πi(41−41+4i)=−2π
である。
CR での積分は例1と同様に計算できる:
R→∞lim∣∣∫CRz4−1dz∣∣≦R→∞lim∫0πR4−1Rdθ=R→∞limR4−1πR=0
残りの経路での積分を考える。
LR,δ と Lε,δ が求めたい積分である:
R→∞limε→0lim∫LR,δ+Lε,δz4−1dz=R→∞lim∫LR,δz4−1dz+ε→0lim∫Lε,δz4−1dz=p.v.∫−∞∞z4−1dz
残りは,cε(1) と cε(−1) での積分である。cε(1) について考える。
z4−11 の 1 周りのローラン展開を z−1c−1+h(z)(h(z) は次数が非負の部分)ととる。このとき h(z) は cε(1) 上で正則である。よって ∣h(z)∣ は cε(1) 上で最大値を取る。
こうして
ε→0lim∣∣∫cε(1)h(z)dz∣∣≦ε→0lim∫cε(1)∣h(z)∣dz=ε→0limπεz∈cε(1)max(∣h(z)∣)=0
と評価される。一方
∫cε(1)z−1c−1dz=∫π2πic−1dz=πic−1=πiRes(z4−11,1)=4πi
である。こうして
ε→0lim∫cε(1)z4−1dz=4πi
である。同様に
ε→0lim∫cε(−1)z4−1dz=−4πi
となる。ゆえに
ε→0lim∫cε(−1)+cε(1)z4−1dz=4πi−4πi=0
以上を合わせると
p.v.∫−∞∞z4−1dz=R→∞lim∫LR,δz4−1dz+ε→0lim∫cε(−1)+cε(1)+Lε,δz4−1dz=R→∞limε→0lim∮Cz4−1dz=−2π
が得られる。