チャンパーノウン定数
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のあとに正の整数を から小さい順に並べ続けた数
をチャンパーノウン定数と言う。
定義も名前も印象的な定数です!
チャンパーノウン定数に関する問題
チャンパーノウン定数に関する問題
まずは,チャンパーノウン定数の ケタ目の求め方を具体例で考えてみます。
チャンパーノウン定数の小数点以下第10000位の数を求めよ。
- から までで ケタ
- から までで ケタ
- から までで ケタ
ここまでで ケタ。残り ケタであり,ここから4ケタの整数が並ぶ。 を計算すると,商は で余りは である。
4ケタの数で 番目に小さいのは
よって, まで並べた時点で ケタになる。よって, ケタ目は の十の位で
群数列っぽい問題ですね。入試に出そうな難易度です。
シグマで表す
シグマで表す
チャンパーノウン定数は,定義より と表せます。ただし, は「 から までのケタ数の総和」です。
を明示的な式で表してみます。 は のケタ数によって様子が変わるので,和を取る範囲をケタ数 で区切ってみます: ケタの正の整数のケタ数の総和は, なので, ケタ未満の正の整数のケタ数の総和は, です。
よって, が ケタのとき, となります。紫の式を2つ合わせると,チャンパーノウン定数がシグマ3つを使って表せることがわかりました。
チャンパーノウン定数は無理数
チャンパーノウン定数は無理数
チャンパーノウン定数は無理数である。
証明には「循環小数で表せないなら無理数」という定理を使います。→循環小数の意味と分数で表す方法など
チャンパーノウン定数が循環小数で表せると仮定する。
このとき,チャンパーノウン定数は と書ける(途中まで でそこから を繰り返す)。
「 のケタ数+ のケタ数」よりも長く を並べた数 を考える。チャンパーノウン定数のどこかで が現れるはずなので, は 以外を含まない。
ところが,同様に について考えると, は 以外を含まない。これは矛盾。よって,背理法によりチャンパーノウン定数は循環小数で表せないので無理数。
チャンパーノウン定数の性質
チャンパーノウン定数の性質
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チャンパーノウン定数は超越数であることが知られています。超越数とは代数方程式の解ではない数のことです。→超越数の意味といくつかの例
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チャンパーノウン定数は正規数であることが知られています。正規数とは「どんな数字列も偏りなく現れる」ような無限小数のことです。きちんとした定義は,以下です。
任意の数字列 に対して
が成立するとき, を正規数と言う。ただし,
- は の長さ
- は, の最初の ケタに が現れる回数
例えば, とすると「 の最初の ケタに が現れる回数は に収束する」という意味です。 とすると「 の最初の ケタに が現れる回数は に収束する」という意味です。このような式がすべての について成立するのが正規数です。
参考:The Constant of Champernowne(外部PDF)
チャンパーノウン定数を背景とした入試問題,あっても良いと思います。