チャンパーノウン定数

チャンパーノウン定数(Champernowne Constant)

0.0. のあとに正の整数を 11 から小さい順に並べ続けた数

0.123456789101112130.12345678910111213\cdots

チャンパーノウン定数と言う。

定義も名前も印象的な定数です!

チャンパーノウン定数に関する問題

まずは,チャンパーノウン定数の NN ケタ目の求め方を具体例で考えてみます。

問題

チャンパーノウン定数の小数点以下第10000位の数を求めよ。

解答
  • 11 から 99 までで 99 ケタ
  • 1010 から 9999 までで 2×90=1802\times 90=180 ケタ
  • 100100 から 999999 までで 3×900=27003\times 900=2700 ケタ

ここまでで 9+180+2700=28899+180+2700=2889 ケタ。残り 71117111 ケタであり,ここから4ケタの整数が並ぶ。7111÷47111\div 4 を計算すると,商は 17771777 で余りは 33 である。

4ケタの数で 17771777 番目に小さいのは 1000+1776=27761000+1776=2776

よって,27762776 まで並べた時点で 99979997 ケタになる。よって,1000010000 ケタ目は 27772777 の十の位で 77

群数列っぽい問題ですね。入試に出そうな難易度です。

シグマで表す

チャンパーノウン定数は,定義より C=n=1n10anC=\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\dfrac{n}{10^{a_n}} と表せます。ただし,ana_n は「11 から nn までのケタ数の総和」です。

ana_n を明示的な式で表してみます。ana_nnn のケタ数によって様子が変わるので,和を取る範囲をケタ数 DD で区切ってみます: C=D=1n=10D110D1n10anC=\displaystyle\sum_{D=1}^{\infty}\sum_{n=10^{D-1}}^{10^{D}-1}\dfrac{n}{10^{a_n}} dd ケタの正の整数のケタ数の総和は,d×9×10d1d\times 9\times 10^{d-1} なので,DD ケタ未満の正の整数のケタ数の総和は,d=1D1d×9×10d1\displaystyle\sum_{d=1}^{D-1}d\times 9\times 10^{d-1} です。

よって,nnDD ケタのとき,an=d=1D1(d×9×10d1)+(n10D1+1)×Da_n=\displaystyle\sum_{d=1}^{D-1}\left(d\times 9\times 10^{d-1}\right)+(n-10^{D-1}+1)\times D となります。紫の式を2つ合わせると,チャンパーノウン定数がシグマ3つを使って表せることがわかりました。

チャンパーノウン定数は無理数

定理

チャンパーノウン定数は無理数である。

証明には「循環小数で表せないなら無理数」という定理を使います。→循環小数の意味と分数で表す方法など

証明

チャンパーノウン定数が循環小数で表せると仮定する。

このとき,チャンパーノウン定数は 0.ABBBBB0.ABBBBB\cdots と書ける(途中まで AA でそこから BB を繰り返す)。

AA のケタ数+ BB のケタ数」よりも長く 11 を並べた数 M=111111M=111\cdots 111 を考える。チャンパーノウン定数のどこかで MM が現れるはずなので,BB11 以外を含まない。

ところが,同様に N=222222N=222\cdots 222 について考えると,BB22 以外を含まない。これは矛盾。よって,背理法によりチャンパーノウン定数は循環小数で表せないので無理数。

チャンパーノウン定数の性質

  • チャンパーノウン定数は超越数であることが知られています。超越数とは代数方程式の解ではない数のことです。→超越数の意味といくつかの例

  • チャンパーノウン定数は正規数であることが知られています。正規数とは「どんな数字列も偏りなく現れる」ような無限小数のことです。きちんとした定義は,以下です。

正規数の定義

任意の数字列 ss に対して limLN(C,L,s)L=110s\displaystyle\lim_{L\to\infty}\dfrac{N(C,L,s)}{L}=\dfrac{1}{10^{|s|}}

が成立するとき,CC を正規数と言う。ただし,

  • s|s|ss の長さ
  • N(C,L,s)N(C,L,s) は,CC の最初の LL ケタに ss が現れる回数

例えば,s=6s=6 とすると「CC の最初の LL ケタに 66 が現れる回数は 110\dfrac{1}{10} に収束する」という意味です。s=314s=314 とすると「CC の最初の LL ケタに 314314 が現れる回数は 11000\dfrac{1}{1000} に収束する」という意味です。このような式がすべての ss について成立するのが正規数です。

参考:The Constant of Champernowne(外部PDF)

チャンパーノウン定数を背景とした入試問題,あっても良いと思います。