三角関数のグラフの特徴と簡単な書き方
この記事では三角関数のグラフの書き方を説明します。物理でも正弦波として頻出です。是非おさえておきましょう。
sin と cos のグラフ
sin と cos のグラフ
まず, の意味を確認しましょう。角 の動径と単位円の交点 の 座標, 座標がそれぞれ でした。
この定義に基づいて のグラフと のグラフを描くと,下の図の右側のようになります。
-
のグラフと のグラフは「同じ形」ですね。実際, であることから, のグラフは のグラフを だけ平行移動させたものだとわかります。
-
や の形をしたグラフを正弦曲線といいます。
-
上のグラフを見ると「同じ形」が連続しています。実際, なので,正弦曲線は ごとに同じ形を繰り返します。
-
このように,ある実数 について, となる関数を周期関数といいます。 を周期といいます。 や の周期は です。
tan のグラフ
tan のグラフ
次は, のグラフです。 とおくと,直線 は と表されます。ここで のとき, となります。図にすると次のようになります。
を動かすことで のグラフは次のように描かれます。
-
の範囲で, を に近付けると の値は限りなく大きくなっていきます。つまり, のグラフが直線 に近付いていきます。このようにグラフがある直線に近付くとき,その直線を漸近線といいます。
-
の周期は です。実際, です。
- のグラフの形は覚える
- と は同じ形で,片方を 平行移動すると重なる
- と の周期は , の周期は
様々な正弦曲線
様々な正弦曲線
次の式のグラフを描け。
正弦曲線の平行移動
のなかが に定数を足し(引い)ている場合は,元の正弦曲線を平行移動させたものとなります。例えば は を 平行移動した曲線です。そのため本体 となるところは に移動します。
と を比較してみましょう。
軸方向の拡大
三角関数に定数を掛けたもののグラフは,元々のグラフを縦方向( 軸方向)に定数倍したものになります。例えば は を 軸方向に2倍拡大したものとなります。
と を比較してみましょう。
3番は1番と2番を組み合わせることで得られます。
軸方向の拡大
は を 軸方向に 1/2に縮小したものとなります。また, 軸方向の拡大では周期が変化します。例えば となるため,周期が です。一般に の周期は となります。
5は平行移動したものです。ただし 平行移動していることに気を付けてください。
軸方向の拡大と平行移動が組み合わさる場合は,少々複雑になります。
であるため, を 軸方向に 平行移動させたものになる。
は 軸方向に 平行移動させたものではないです。 の形を作るようにしましょう。
正弦関数を簡単に描く方法
関数を描くときは,目盛りが正確に描かれていれば問題はありません。すなわち次の2つはグラフとしては同じになります。
次のような方法で描くと簡単に描けます。
- 正弦曲線と 軸を描く。
- 平行移動前の原点がどこに移動したのか調べて 軸を描く。
- 座標の最大最小を調べて書く。
- 周期を調べて 軸に目盛りを書く。
実際に を描いてみましょう。
-
から, の原点は に移動します。
-
の最大値・最小値は, です。
-
周期が であることを考えて目盛りを書きこみます。
正弦曲線は物理において波の分野で頻出します。合わせて勉強しましょう。