マクローリン展開にまつわる三角関数の不等式
微分法を用いて不等式を示す問題の背景。
以下の不等式は三角関数のマクローリン展開が元になっています。
(i)
(ii)
(iii)
(iiii)
特に(i), (ii)は有名な重要公式なので丸暗記しておきましょう。マクローリン展開がもとになっているということを知らなくても,単純に覚えているだけで得する不等式です。
マクローリン型不等式の気持ち
マクローリン型不等式の気持ち
上の不等式は全て三角関数のマクローリン展開が元になっています。
つまり,三角関数のマクローリン展開
の係数が不等式の右辺の不等式あらわれています。
指数関数の場合と異なりマクローリン展開の式から直接不等式を証明することはできませんが,微分を用いれば示すことができます。
マクローリン型不等式を覚えていて嬉しい事
マクローリン型不等式を覚えていて嬉しい事
指数関数の場合と同様に, マクローリン型の不等式の場合は,愚直に(左辺)ー(右辺)を何回も微分していけば簡単な関数形になり必ず証明は成功します。
マクローリン型の不等式を証明せよという問題を見たら何も考えずにそのまま両辺の差をひたすら微分していけばよいのです。
(iii)の略証(同時に(i),(ii)の証明にもなっている)
とおくと,
これと より
これと, から が分かる。
これと より
が分かる。
指数関数の場合の証明と全く同じことをしていることに気付いていただけたでしょうか。 マクローリン型不等式(指数関数)も参考にしてください。
マクローリン型不等式の応用
マクローリン型不等式の応用
読者の方に質問された問題が,マクローリン型不等式を使うことでスッキリ解けたので紹介します。
関数 を, では, , では と定義する。このとき の最大値を求めよ。
微分するのがセオリーですが,エレガントに解きます。 の最大値を求めたいのですが のせいで関数の挙動が分かりません。 を上から抑えたいので を下から抑える不等式(ii)を使ってみます。
不等式(ii)より,任意の でない実数 に対して
となる。
実際 が簡単に分かるので, の最大値は である。
余談: はサインを上からおさえる不等式ですが,下からおさえる不等式もあります。→ジョルダンの不等式とその3通りの証明
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