確率漸化式の定義と問題例

更新日時 2021/06/14

確率漸化式は「漸化式を利用して確率を求める」ような問題です。

この記事では,例題3問を通じて確率漸化式の解き方・考え方を説明します。

目次
  • 確率漸化式の基本的な解き方

  • 確率漸化式のポイント

確率漸化式の基本的な解き方

確率漸化式は「試行回数が nn 回」の問題で有効です。

例題1

コインを nn 回投げ,表なら 22 を,裏なら 11 を足していく。nn 回目までの和を AA としたとき,AA が偶数となる確率を求めよ。

確率漸化式の問題は,以下のような流れで解けることが多いです。

確率漸化式の解き方の流れ
  1. nn 回目の確率を ana_n とおく
  2. nn 回目と n+1n+1 回目の状態を遷移図で表す
  3. 2で表した遷移図を元に漸化式を立てて計算する
解答

まず,nn 回目に AA が偶数である確率を ana_n とおく。

続いて,以下のように状態を遷移図に表す。

確率漸化式 遷移図1

遷移図より,

an+1=12an+12(1an)(n1)a_{n+1} = \dfrac{1}{2}a_n +\dfrac{1}{2}(1 - a_n)\quad(n \geqq 1)

整理すると,an+1=12(n1)a_{n+1} = \dfrac{1}{2}\quad(n \geqq 1)

つまり,an=12(n2)a_n = \dfrac{1}{2} \quad(n \geqq 2)

また,a1=12a_1 = \dfrac{1}{2} と合わせて

an=12a_n = \dfrac{1}{2}

遷移図を書くときに,偶数側を ana_n,奇数側を 1an1-a_n とおきました。このように,確率漸化式では 全ての確率の総和が1であることを使って立式します。

この問題は,答えが nn によらない定数になりました(漸化式を解く部分は楽な問題でした)。

確率漸化式のポイント

基本的な確率漸化式の考え方は以上です。ここからは,追加で気をつけるべきポイントを紹介します。

事象の間の対称性を見つける

例題1の場合,「AA が偶数」と「AA が奇数」の2つの事象しかなかったので,全ての事象を ana_n のみで表せました。しかし,同時に現れる事象がより多い場合には,ana_n だけでは表せない場合もあります。

そのようなときは,複数の事象の間に対称性を見つけて,複数の確率を1つの文字で表せないか考えるとよいです。

以下の例題2では,nn 回目に「33 で割った余りが 11 になる確率」と「33 で割った余りが 22 になる確率」は対称性より等しいので,cnc_n という同じ文字で両方の確率を表すことができます。

例題2

サイコロを nn 回振り,1144 が出たときには 11 を,2255 が出たときには 22 を, 3366 が出たときには 33 を足す。nn 回サイコロを降ったときの和を BB とするとき,BB33 の倍数である確率を bnb_n とする。bnb_n を求めよ。

解答

nn 回目に 33 の倍数である確率は bnb_n と設定されている。

また,33 で割った余りが 11 である場合と 22 である場合は対称性より,どちらも確率を cnc_n とおける。

このとき,以下の遷移図が書ける。

確率漸化式 遷移図2

確率の総和は 11 なので,2cn+bn=12c_n+b_n = 1 となる。つまり,

cn=12(1bn)c_n = \dfrac{1}{2}(1 - b_n)

また,遷移図を元に考えると,

bn+1=13bn+23cn(n1)b_{n+1} = \dfrac{1}{3}b_n +\dfrac{2}{3}c_n \quad(n \geqq 1)

となる。この2つから cnc_n を消去すると,

bn+1=13(n1)b_{n+1} = \dfrac{1}{3}\quad(n \geqq 1)

つまり,bn=13(n2)b_n = \dfrac{1}{3} \quad(n \geqq 2)

b1=13b_1 = \dfrac{1}{3} と合わせて,bn=13b_n = \dfrac{1}{3}

今回も答えが nn によらない定数になりました(漸化式を解く部分は楽な問題でした)。

三項間漸化式を用いる場合

これまでの問題では二項間漸化式で考えましたが,三項間漸化式が登場する問題もあります。

例題3

コインを投げて,「表が出たら階段を 22 段,裏が出たら階段を 11 段上がる」という操作を十分な回数行う。何回目かの操作の後にちょうど nn 段目にいる確率を求めよ。

解答

まず,何回目かの操作の後にちょうど nn 段目にいる確率を pnp_n とおく。

nn33 以上の場合について,以下のように状態を遷移図に表す。 確率漸化式 遷移図3

遷移図を元に考えると, pn=12pn1+12pn2(n3)p_n = \dfrac{1}{2}p_{n-1} +\dfrac{1}{2}p_{n-2}\quad(n \geqq 3)

漸化式は以下のように変形できる: pnpn1=12(pn1pn2)(n3)p_n - p_{n-1}= -\dfrac{1}{2}\left(p_{n-1}-p_{n-2}\right)\quad(n \geqq 3) pn+12pn1=pn1+12pn2(n3)p_n + \dfrac{1}{2}p_{n-1}=p_{n-1} +\dfrac{1}{2} p_{n-2}\quad(n \geqq 3)

p1=12,p2=34p_1 = \dfrac{1}{2},\:p_2 = \dfrac{3}{4} に注意すると,二つの漸化式のそれぞれの一般項は

pn+1pn=(p2p1)(12)n1=(12)n+1(n3)pn+1+12pn=p2+12p1=1(n3) \begin{aligned} p_{n+1} - p_n=(p_2 -p_1)\left(-\dfrac{1}{2}\right)^{n-1}&=\left(-\dfrac{1}{2}\right)^{n+1}\quad(n \geqq 3)\\ p_{n+1} + \dfrac{1}{2}p_n=p_2 +\dfrac{1}{2}p_1 &= 1\quad(n \geqq 3) \end{aligned}

両辺を引くと, 32pn=1(12)n+1(n3)\dfrac{3}{2}p_n=1 -\left(-\dfrac{1}{2}\right)^{n+1}\quad(n \leqq 3) pnp_n について解くと, pn=23+13(12)n(n3)p_n=\dfrac{2}{3}+\dfrac{1}{3}\left(-\dfrac{1}{2}\right)^n \quad(n \geqq 3)

n=1,n=2n=1,n=2 のときもこれを満たすので, pn=23+13(12)np_n = \dfrac{2}{3}+\dfrac{1}{3}\left(-\dfrac{1}{2}\right)^n

このように,三項間漸化式を用いる問題でも考え方は同じです。その場合には,遷移図を三つの状況の間で表すことになります。

遷移図を作ることができれば,その後は三項間漸化式を解くだけです。

三項間漸化式の解き方については,三項間漸化式の3通りの解き方を参考にしてください。

確率漸化式の応用問題

少し難しめの応用問題として,破産の確率と漸化式について扱った記事もあります。 確率漸化式の難問を解いてみたい人はこちらから →破産の確率と漸化式

遷移図を書いている時ってなんだか楽しいですよね。