補集合の定義と具体例・問題例

集合 AA補集合とは,「全体」の中で AA に含まれない要素をすべて集めたもの。

補集合とは

「全体」が決まっているとき,「全体」の中で AA に含まれない要素をすべて集めたものを AA の補集合と呼びます。

例えば,「全体」が1から5の整数 {1,2,3,4,5}\{1,2,3,4,5\} で,A={1,2}A=\{1,2\} のとき,AA の補集合は {3,4,5}\{3,4,5\} です。

「全体」を表す集合を全体集合といい,UU で表すことが多いです。また,AA の補集合を A\overline{A}ACA^{\mathrm{C}} と書くことが多いです。→集合の記号の意味まとめ

補集合の定義は,集合の記号を使って A={xUxA} \overline{A} = \left\{ x \in U \mid x\notin A \right\} と表すこともできます。

余談:差集合と補集合

ある集合 BB の中から,別の集合 AA の要素を取り除いた残りの要素でできた集合を,差集合といいます。 BB を特別に全体集合 UU としたとき,この差集合を AA の補集合と呼びます。この意味で補集合は差集合の特別な場合と言えます。

補集合の具体例

例1

全体集合 U={1,2,3,4,5,6,7,8,9,10}U = \{1,2,3,4,5,6,7,8,9,10\}A={3,5,6,7,8,10}A = \{3,5,6,7,8,10\} に対し,補集合 A\overline{A} を求めよ。

AAに入っていなくて,UU に入っているものを選べば良いので A={1,2,4,9} \overline{A} = \{1,2,4,9\}

例2

全体集合 UU を正の数全体の集合,つまり U={xx>0}U = \{x\mid x > 0\} とし, A={xx>2}A = \{x\mid x > 2\} としたとき,A\overline{A} を求めよ。

AAに入っていなくて,UU に入っているものを集めると「2以下かつ0より大きい数すべて」になります。つまり, A={x0<x2} \overline{A} = \{x\mid 0 < x \leq 2\} となります。境界はどちらに含まれるか(この問題で言えば x=2x = 2AAA\overline{A} のどちらに含まれるか)に気をつけましょう。

例3

全体集合 UU を実数全体の集合とし,A={xx>2}A = \{x\mid x > 2\}としたとき,A\overline{A} を求めよ。

集合の記号を使って表すと A={xx2} \overline{A} = \{x\mid x \leq 2\} となります。例2,例3を見てわかる通り,AA が同じでも全体集合 UU が変わると補集合も変わることに注意しましょう。

例4

以下のように各数字を要素として含む集合 U,A,BU,A,B を考える。

ベン図を使った例題

このとき,集合 ABCA \cap B \cap \overline{C} を求めよ。

A,BA,B の円の中には含まれていて, CC の円の中には含まれていない要素を列挙すればよいので, ABC={54} A \cap B \cap \overline{C} = \{54\} が答えです。要素としては 5454 のみが答えですが,集合を答えよと言われているので ABC=54 A \cap B \cap \overline{C} = 54 と答えないように気をつけましょう。

補集合と要素数

集合 SS に対して,その要素数を n(S)n(S) と書くことにします。例えば,S={1,2,5}S=\{1,2,5\} なら n(S)=3n(S)=3 です。

実は,補集合の要素数について, n(A)=n(U)n(A) n(\overline{A})= n(U) - n(A) という式が成立します。 「AA の補集合」は「全体集合 UU」 から「AA に含まれるものを除いたもの」なので,上の式が成立します。移項して, n(A)=n(U)n(A) n(A)= n(U) - n(\overline{A}) と書くこともできます。

多くの場合,全体集合の要素数はわかっているので n(A)n(\overline{A}) がわかれば n(A)n(A) もわかると言えます。

補集合に関する応用問題

問題1

n(U)=30,n(A)=14,n(B)=11,n(AB)=6 n(U)=30,\:n(A) = 14,\:n(B) = 11,\:n(A \cap B) = 6 のとき, n(AB) n(\overline{A \cup B}) を求めよ。

さきほど紹介した補集合の要素数についての式: n(AB)=n(U)n(AB)n(\overline{A \cup B}) = n(U) - n(A \cup B) を使って計算します。また,右辺の n(AB)n(A \cup B) は3つに分解: n(AB)=n(AB)+n(BA)+n(AB) n(A \cup B) \\= n(A \cap \overline{B}) + n(B \cap \overline{A}) + n(A \cap B) してそれぞれ数えます。式だけ眺めていてもよくわからない場合,ベン図を書いて状況を想像してみてください。

解答

AA に含まれて,BB に含まれない部分について, n(AB)=n(A)n(AB) n(A \cap \overline{B}) = n(A) - n(A \cap B) が成立するから, n(AB)=146=8 n(A \cap \overline{B}) = 14 - 6 = 8 同様に,BB に含まれて,AA に含まれない部分について, n(BA)=n(B)n(AB) n(B \cap \overline{A}) = n(B) - n(A \cap B) が成立するから, n(BA)=116=5 n(B \cap \overline{A}) = 11 - 6 = 5 よって n(AB)=n(AB)+n(BA)+n(AB) n(A \cup B) \\= n(A \cap \overline{B}) + n(B \cap \overline{A}) + n(A \cap B) により n(AB)=8+5+6=19 n(A \cup B) = 8 + 5 + 6 = 19 よって, n(AB)=n(U)n(AB)=3019=11 \begin{aligned} n(\overline{A \cup B}) &= n(U) - n(A \cup B) \\ &= 30 - 19\\ &= 11 \end{aligned} を得る。

次に,問題1とは毛色の異なった問題を考えてみます。

問題2

1から5の数字が書かれた5個のボールが入った袋がある。袋の中からボールを1個とり,数字を確認して袋にもどす一連の流れを「操作」と呼ぶことにする。10回「操作」を行って,確認した数字を左から書き並べて10桁の数字を作った時,その数字の中に1が少なくとも1つ入っている場合は何通りあるか。

まずは,補集合の考え方を使わず,正面から解いてみます(大変です)。

大変な解答

10桁の数字の中で1つだけ1があるものは 10C114101 {}_{10}\mathrm{C}_1\cdot 1\cdot 4^{10-1} 通りある。 同様に10桁の数字の中で kk(0k10)(0 \leq k \leq 10) だけ1があるものは 10Ck1410k {}_{10}\mathrm{C}_k \cdot 1 \cdot 4^{10-k} 通りであるので,「少なくとも1が1つある」とは,「1〜10個の1がある」ことと同じであることを考慮すると,求める場合の数は k=11010Ck1410k \sum_{k = 1}^{10} {}_{10}\mathrm{C}_k \cdot 1 \cdot 4^{10-k} ここで二項定理(→二項定理の意味と2通りの証明)により, (1+4)n=k=0nnCk4nk=k=1nnCk4nk+4n (1+4)^n = \sum_{k = 0}^{n} {}_n\mathrm{C}_k \cdot 4^{n-k}\\ = \sum_{k = 1}^{n} {}_n \mathrm{C}_k \cdot 4^{n-k} + 4^n 5n4n=k=1nnCk4nk \therefore 5^n - 4^n = \sum_{k = 1}^{n} {}_n \mathrm{C}_k \cdot 4^{n-k} であるから, n=10n = 10 を代入して,求める場合の数は 510410 5^{10} - 4^{10} 通りとなる。

とても大変ですね。これはこれで二項定理の復習になるので勉強して損はないですが,補集合を用いることで,よりスマートに解けます。

賢明な解答

10桁の数字は全部で 5105^{10} 通りあるが,そのうち「1が1つも含まれない」ものは 4104^{10} 通りある。「1が1つも含まれない」ものの集合の補集合は,「1が少なくとも1つ入っている」数字の集合であるから,答えは 510410 5^{10} - 4^{10} 通りとなる。

このようにとても簡単な引き算一発で求めることができました。正攻法では時間がかかり過ぎる問題も,補集合を使うと簡単に計算できることがあります。以下を覚えておくとよいでしょう。

n(A)n(A) よりも n(A)n(\overline{A}) の方が計算しやすい時は n(A)=n(U)n(A) n(A)= n(U) - n(\overline{A}) として考えるのが良い。

ちなみに,さらに複雑な問題になると,補集合の場合の数を求めるのも大変な場合があります。その場合は,ド・モルガンの法則を使うと道が開けることがあります。→ド・モルガンの法則の解説

ちなみに,AA の補集合の補集合は AA になります。