超幾何級数の定義と例
超幾何級数について紹介します。いくつか例を見ながら,超幾何級数に慣れ親しみましょう。
超幾何級数の定義
超幾何級数の定義
超幾何級数とは,以下の式で定義される のことです。
定義式をもう少し詳しく説明すると,
- 超幾何級数は, という形の無限級数
- ただし,係数 が複雑
- 係数の分子には 個,分母には 個の「ポッホハマー記号」が登場
- ポッホハマー記号 とは, 個の連続積を表す:
ただし,とする。
特に, の場合を超幾何級数と呼び,一般の のことを「一般化超幾何級数」と呼ぶこともあるようです。
超幾何級数の例
超幾何級数の例
実は,超幾何級数は,いろいろな身近な関数を含んでいます。例えばコサインは,超幾何級数を使って
と表すことができます。これを確認してみましょう。
Pfaff-Saalschütz の和公式
Pfaff-Saalschütz の和公式
超幾何級数に関連するおもしろい恒等式はたくさんあります。その中でも,今回は Pfaff-Saalschütz の和公式と呼ばれる恒等式を紹介します。
任意の非負整数 に対して,
左辺は級数(実際には有限和になりますが)なのに,右辺は因数分解された分数式というのがおもしろいです。
の場合は左辺も右辺も になります。 の場合についても確認してみましょう。
の場合の確認
まず,右辺は です。
左辺は,
ですが,分子に があるため,の項は消えます。
よって,左辺は となります。つまり,
という恒等式が得られます。
Pfaff-Saalschütz の和公式の証明は,私も知りません(帰納法を使って証明できるかも?)
参考文献:この定理が美しい(数学書房編集部)
超幾何級数は名前も見た目もゴツくて楽しいですね!