ノルムの意味とL1,L2,L∞ノルム
次元ベクトル および なる に対して
を の ノルムと言い, と書く。
n次元ベクトルとは
ノルムとは
の場合, の場合
が非常に大きい場合
単位円,単位球
n次元ベクトルとは
次元ベクトルは(この記事では)実数を 個並べたものだと考えて下さい。
高校数学で習う2次元ベクトル(平面ベクトル),3次元ベクトル(空間ベクトル)の一般化です。
ノルムとは
ノルムとはいろいろなものの「大きさ」を表す量です。より正確に言うと(実数上のベクトル空間 に対しては)任意の と任意の実数 に対して以下の3つの性質を満たす関数 のことです。
ノルムは代表的なノルムです。実際, が上の3つの性質を満たすことが確認できます(3つ目については ミンコフスキーの不等式とその証明)。
の場合, の場合
-
ノルム:
高校数学でも扱う「普通の意味での長さ」です。ユークリッドノルムとも言います。 -
ノルム:
各成分の絶対値の和です。 ノルムを「大きさ」として扱うと便利なこともけっこうあります→L1距離(マンハッタン距離)の意味と性質
が非常に大きい場合
が非常に大きい場合を考えてみます。 の中で最も絶対値が大きいものの1つを とします。すると が十分大きいとき,
となります。
そこで, ノルムを,絶対値最大の成分の絶対値と定義します。無限大ノルム,supノルムなどとも言います。
単位円,単位球
二次元ベクトルに対して であるような領域(単位円)を図示しました。
を から徐々に増やしていくにつれて単位円はふくらんでいきます。これは でも同様です。
ちなみに, の場合にも を考えることはできますが,ノルムにはなりません(三角不等式を満たさない)。単位円はへこみます。
実際よく登場するのは ノルムです。