階差数列の意味と、もとの数列の一般項を求める方法

階差数列

「次の数との差」を並べた数列のことを階差数列と言います。

例えば,1,2,5,10,17,261,2,5,10,17,26 という数列に対する階差数列は,
1,3,5,7,91,3,5,7,9 です。

階差数列の和

階差数列について詳しく解説します。

階差数列とは

階差数列とは,次の数との差を並べた数列のことです。きちんと書くと,

数列 ana_n に対して,bn=an+1anb_n=a_{n+1}-a_n で定まる数列のことを階差数列と言います。

例題

1,2,5,10,17,261,2,5,10,17,26 という数列 ana_n の階差数列 bnb_n を求めよ。

解答

差を並べていくと,1,3,5,7,91,3,5,7,9 となります。

きちんと式で書くと,

  • b1=a2a1=21=1b_1=a_2-a_1=2-1=1
  • b2=a3a2=52=3b_2=a_3-a_2=5-2=3
  • b3=a4a3=105=5b_3=a_4-a_3=10-5=5
  • b4=a5a4=1710=7b_4=a_5-a_4=17-10=7
  • b5=a6a5=2617=9b_5=a_6-a_5=26-17=9

階差数列ともとの数列の関係

階差数列の重要な性質

数列 ana_n の階差数列を bn  (=an+1an)b_n \; (=a_{n+1}-a_n) とおくと, an=a1+i=1n1bia_n=a_1+\sum_{i=1}^{n-1}b_i となる。

\sum のせいで少しわかりにくいですが,例えば,

  • n=2n=2 のとき a2=a1+b1a_2=a_1+b_1
  • n=3n=3 のとき a3=a1+b1+b2a_3=a_1+b_1+b_2
  • n=4n=4 のとき a4=a1+b1+b2+b3a_4=a_1+b_1+b_2+b_3

という式が成立するわけです。

a2=a1+(a2a1)=a1+b1a3=a1+(a2a1)+(a3a2)=a1+b1+b2\begin{aligned} a_2 &=a_1+(a_2-a_1)\\ &=a_1+b_1\\ a_3 &=a_1+(a_2-a_1)+(a_3-a_2)\\ &=a_1+b_1+b_2 \end{aligned}

a4a_4 以降も同様。

階差数列を使って一般項を求める

階差数列 bn=an+1anb_n=a_{n+1}-a_{n} の一般項がわかれば,さきほどの性質 an=a1+i=1n1bia_n=a_1+\displaystyle\sum_{i=1}^{n-1}b_i を使って数列 ana_n の一般項もわかる。

例題

先頭の6項が 1,2,5,10,17,261,2,5,10,17,26 である数列 ana_n の一般項を求めよ。

解答

階差数列の和

階差数列 bnb_n を先頭から計算すると,1,3,5,7,91,3,5,7,9 であった。これより bnb_n は等差数列であり,bn=2n1b_n=2n-1 を得る。

よって,さきほどの和の式を用いると,n2n\geq 2 のとき(場合分けの意味は後述)

an=a1+i=1n1bi=1+i=1n1(2i1)=1+2n(n1)2(n1)=n22n+2\begin{aligned} a_n&=a_1+ \sum_{i=1}^{n-1}b_i\\ &=1+ \sum_{i=1}^{n-1} (2i-1)\\ &=1+2\cdot\dfrac{n(n-1)}{2}-(n-1)\\ &=n^2-2n+2 \end{aligned}

これは n=1n=1 のときも正しい。

余談:高次の多項式を用いればいかようにも補間できるので,この手の問題はあまり好きではありません。ただ,時には空気を読む,場に合わせることも重要だと思っています。

場合分けについて

階差数列の公式中には i=1n1\displaystyle\sum_{i=1}^{n-1} という表記が含まれており,n2n\geq 2 でないと意味を持ちません。そのため,n2n\geq 2n=1n=1 の場合を分けて考える必要があります。

ただし,高校数学,大学入試で登場するほとんど全ての問題では n2n\geq 2 の場合の結果が n=1n=1 の場合にも正しいので,場合分けの必要性を実感しにくいです。

しかし,うまくいかないひねくれた例を作ることもできます。→階差数列,n=1のときは必ず成り立つか?(怜悧玲瓏 ~高校数学を天空から俯瞰する~ という外部サイト)

ということで,場合分けは忘れないようにしましょう!

練習問題

例題~鹿児島大学2007より抜粋

数列 {an}\{ a_n \} は,a0=aa_0 = a で階差数列が元の {an}\{ a_n \} と一致する。このとき ana_n を求めよ。

証明

条件より an+1an=ana_{n+1} - a_n = a_n であるため an+1=2ana_{n+1} = 2 a_n を得る。

よって an=a×2na_n = a \times 2^n である。

階差数列と多項式

一般項が kk 次多項式で表される数列の階差数列は (k1)(k-1) 次多項式である。

これは簡単な計算で確認できます,やってみてください。

  • an=An+Ba_n=An+B タイプ→等差数列だからすぐに一般項が分かる
  • an=An2+Bn+Ca_n=An^2+Bn+C タイプ→階差数列が等差数列になる
  • an=An3+Bn2+Cn+Da_n=An^3+Bn^2+Cn+D タイプ→階差数列の階差数列が等差数列になる

入試で登場するのはこの辺まででしょう。

一般に,ana_nnnkk 次多項式のとき,階差数列を k1k-1 回取れば等差数列になります。

ちなみにこれは微分の離散版」ともいえます。

例えば,一般項が二次式だと分かっていれば,a1,a2,a3a_1,a_2,a_3 で検算することで確証が得られるのでハッピーです。

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