フェルマーの最終定理

フェルマーの最終定理

nn を3以上の整数とするとき,xn+yn=znx^n+y^n=z^n を満たす正の整数 x,y,zx,y,z の組は存在しない。

フェルマーの最終定理について,高校数学の範囲で簡単に紹介します。

フェルマーの最終定理の魅力

  • フェルマーの最終定理の主張は,少し説明すれば小学生にも理解できるレベルで簡単です。一方で証明はとても難しいというのがおもしろいです。他の多くの難問はほとんどの人が問題文すら全く理解できないためあまり有名にはなりません。
  • フェルマーが17世紀に問題提起してからワイルズが解決するまでに約360年かかりました。解決までにかかった時間という意味では(おそらく)「解決された数学の問題の中で最も難しい問題」と言えるでしょう。

n=2 の場合

フェルマーの最終定理の主張は nn33 以上の場合について,整数解が存在しないことを主張しています。一方,n=2n=2 の場合は整数解が存在します。

n=2

x2+y2=z2x^2+y^2=z^2 を満たす整数 x,y,zx,y,z の組は無数に存在する。

例えば x=3,y=4,z=5x=3,y=4,z=5 という解は有名ですね。 n=2n=2 の場合の方程式の整数解をピタゴラス数と言います。 →ピタゴラス数の求め方とその証明

n=3 の場合の証明

フェルマーの最終定理も n=3n=3 の場合に限れば,高校数学+αで証明できます。ただし,α と書きましたが α がかなり大きく,この記事で解説できるレベルではありません。二次体の整数論を用いて証明する方法が有名です。

n=3

x3+y3=z3x^3+y^3=z^3 を満たす正の整数 x,y,zx,y,z の組は存在しない。

証明の前提知識や詳細は初等整数論講義という本に載っています。前提知識のない普通の高校生でも頑張って勉強すれば1ヶ月くらいで理解できるレベルだと思います。二次体を用いない証明方法もあるようです。

n=4 の場合の証明

フェルマーの最終定理の n=4n=4 の場合の証明は比較的簡単です。無限降下法で証明する方法が有名です。

n=4

x4+y4=z4x^4+y^4=z^4 を満たす正の整数 x,y,zx,y,z の組は存在しない。

具体的な証明方法については,無限降下法の整数問題への応用例の後半で解説しています。n=3n=3 の場合の証明よりもはるかに簡単です。

その他

  • 個別の nn に対する証明としては,ソフィージェルマンによる n=5n=5 の場合の証明,ラメによる n=7n=7 の場合の証明が有名です(どちらも非常に難しいです)。
  • フェルマーの最終定理,難しい数論に興味がある方は「保型形式,楕円曲線,谷山・志村予想」あたりのキーワードで調べてみるとよいです。

楕円曲線~フェルマーの最終定理・BSD予想・合同数問題と合わせて もご覧ください。

フェルマーの最終定理を高校数学で証明できましたが,それを書くには余白がたりません(この記事の執筆日は4/1です)。