モンティ・ホール問題とその解説

モンティ・ホール問題は,条件付き確率に関するとても有名な問題です。

直感的にすぐ納得できる人もいますが,全く納得できない人も多いのでモンティ・ホールのジレンマと呼ばれることもあります。

モンティ・ホール問題とは

モンティ・ホール問題

モンティ・ホール問題

  1. 三つの扉がある。一つは正解。二つは不正解。

  2. 挑戦者は三つの中から一つ扉を選ぶ。

  3. 司会者(モンティ)は答えを知っており,残り二つの扉の中で不正解の扉を一つ選んで開ける。

  4. 挑戦者は残り二つの扉の中から好きな方を選べる。このとき扉を変えるべきか?変えないべきか?

モンティ・ホール問題を議論するときには正解の扉の後ろには「景品」があり,不正解の扉の後ろには「ヤギ」がいるのが通例ですが,ここでは「正解の扉」「不正解の扉」という言葉を使います。

正しい答えと間違った答え

解答

挑戦者は扉を変えたほうがよい。扉を変えない場合,正解の確率は 13\dfrac{1}{3} であるが,扉を変えれば正解の確率は 23\dfrac{2}{3} になるからである。

上記の解答にすぐ納得できる人は問題ないのですが(そのような人にとってはモンティ・ホール問題や,この記事はつまらないかもしれません。しかし,多くの人が陥る誤った考えを知るのも悪くはないと思います),多くの人が以下のように誤った答えを出してしまいます。

誤った解答

2が終わった時点で残った扉は二つであり,扉を変えても変えなくても正解の確率は 12\dfrac{1}{2} であるので扉を変えることによるメリットはない。

実は,私も最初は「誤った解答」が正しいと思い込んで「解答」を聞いても,なかなか納得できませんでした。じっくり考えて納得できたので「誤った直感」を正すための三つの方法を紹介します。

モンティ・ホール問題の解答に納得する方法

方法1:表をきちんと書いてみる

扉を A,B,CA,B,C とします。挑戦者が最初に AA を選ぶとしても一般性を失いません。このとき考えられるパターンは全部で四通りです。

モンティ・ホール問題の表

例えば一列目は「正解が AA であり司会者が BB を選ぶような確率が 16\dfrac{1}{6} で,そのとき扉を変えると不正解,扉を変えないと正解」であることを表しています。

この表より,

扉を変えたとき正解する確率: 13+13=23\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{3}=\dfrac{2}{3}

扉を変えないとき正解する確率: 16+16=13\dfrac{1}{6}+\dfrac{1}{6}=\dfrac{1}{3}

となることが納得できます。

方法2:扉を100個にしてみる

扉の数を三つではなく100個に増やすと直感的に納得できる人も多いようです。

モンティ・ホール問題(100個の場合)
  1. 100個のドアがある。一つは正解。残りは全部不正解。

  2. 挑戦者は100個の中から一つ扉を選ぶ。

  3. 司会者は残り99個の扉の中で不正解の扉を98個選んで開ける。

  4. 挑戦者は残り二つの扉の中から好きな方を選べる。このとき扉を変えるべきか?変えないべきか?

2の部分で「司会者が挑戦者に情報を与えている」というのがポイントです。これはもとの問題とは別の問題ですが,こちらの場合で納得できればもとの問題でも納得できるはずです。

方法3:プログラミングで実験してみる

乱数を使って実際にモンティ・ホール問題を何回も試行してみると,

扉を変えない場合に正解する確率→ほぼ 13\dfrac{1}{3}

扉を変えた場合に正解する確率→ほぼ 23\dfrac{2}{3}

という結果が得られます。

分かる人にとってはなんで分からないのかが分からない。分からない人にとってはなかなか直感的に納得できない。そんな不思議な問題です。

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